税務最新情報

■最新版 2018年09月20日号 (第372)

消費税の軽減税率(一体資産について)

 みなさん、こんにちは、少し秋めいてきました。暑い日もありますが、ずいぶん過ごしやすい日が増えてきました。一方で、秋は税務調査が多い季節ということで、想定通り税務調査の立会が何件か続きます。

 さて、今回は消費税の軽減税率のグレーゾーン、一体資産です。子供の頃、キャラメルにおまけがついている商品があり、おまけ欲しさにキャラメルを買った記憶があります。この、おまけつきのキャラメル、これは食品に該当して軽減税率なのでしょうか?というのが本日の話題です。

◆一体資産の概念

 食品について軽減税率を適用することになりましたが、その場合に、おまけ付きのキャラメルは軽減税率の対象なのか。シール付きのチョコレートは軽減税率の対象なのかという疑問が生じます。実際に、購入する者はキャラメルやチョコレートが目的ではなく、目的はおまけだったり、シールだったりという話はありがちです。そのような、曖昧なものについて、軽減税率を適用するか否かという問題があります。国税庁のQ&A概要編によれば、下記のとおりです。

問3 「一体資産」とは、どのようなものですか。

【答】
 「一体資産」とは、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもので、「一体資産」としての価格のみが提示されているものをいいます。「一体資産」の譲渡は、原則として軽減税率の適用対象ではありませんが、次のいずれの要件も満たす場合は、飲食料品として、その譲渡全体につき軽減税率が適用されます(改正法附則 34①一、改正令附則2)。

 ① 一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)が1万円以下であること
 ② 一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること

 なお、ここでいう合理的な方法とは、例えば、(1)一体資産の譲渡に係る売価のうち、食品の売価の占める割合や、(2)一体資産の譲渡に係る原価のうち、食品の原価の占める割合による方法があります(軽減通達5)。

 キャラメルやチョコレートの件に照らし合わせると、単価1万円以下は問題なくクリアしています。一体資産に占める食品部分の割合が3分の2以上であれば、全体が軽減税率の適用となります。

 なお、複数の商品を組み合わせて販売するとか、3個で1,000円という値付けの商品の中に食品も含まれるという場合は、一体資産に該当しません。単なる詰め合わせ販売、セット販売となり、その内訳の金額比率で、軽減税率部分と標準税率部分を合理的に区分する必要があります。

◆一体資産はビジネスチャンスの可能性

 国税庁のQ&A個別編に目を通すと興味深いQ&Aがあります。以下のような内容です。

問67 当社では、紅茶とティーカップを仕入れてパッケージングし、セット商品として小売事業者に卸売販売しています。販売に際しては、100個単位で販売しており、販売価格を100,000円(税抜き)としています。
 この場合、軽減税率の適用対象となる一体資産かどうかの判定に当たり、一体資産の譲渡の対価の額(税抜き)が10,000円以下かどうかは、どのように判定することになりますか。【平成30年1月追加】

【答】
 軽減税率の適用対象となる一体資産かどうかの判定に当たり、一体資産の譲渡の対価の額(税抜き)が10,000円以下かどうかは、セット商品1個当たりの販売価格で判定することとなります。

したがって、ご質問のセット商品1個当たりの税抜き販売価格は、1,000円(100,000円÷100個)となりますので、一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)は、10,000円以下となります。

 このQ&Aは税法的な解釈というより、ビジネスチャンスの拡大と考えると影響が大きいと思います。このQ&Aのひとつ前の問66では、食品と食品以外の福袋の事例を紹介していますが、一体資産の要件を満たせば軽減税率の対象という結論になっています。

 1万円という単価設定は、多くの個人向けのビジネスとすれば小さくない金額です。単独で売れば標準税率になる商品を食品と合わせて一つの商品とすることで、客単価を上げることができますし、消費者の目線でも、全体を軽減税率で購入できることになりますから、上手な組み合わせにすれば、販売する側にも購入する側にも大きなメリットになります。

 発泡酒や第三のビールがヒットしたように、消費者にとって有利な商品は、販売する側にとっては大きなセールスポイントになります。

 一体資産については、今後注目される分野ではないかと思っています。

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