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2023年03月09日号 (第462)
令和5年度税制改正 NISA制度がより使いやすく改正
みなさん、こんにちは。確定申告の期限まであとわずかです。最近の所得税の申告ではふるさと納税の利用が増えたことで、寄付金の入力作業がずいぶん増えた気がします。以前は医療費控除の入力が量として圧倒的だったのが、逆転してしまったようです。
今回は、令和5年度税制改正におけるNISA制度の改正についてご紹介します。
NISA制度の恒久化と投資枠の拡大
従来は期間制限があったNISA制度が、恒久化されることになります。また現行制度では、「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらかを選択し、一方しか利用することができませんでした。今回の改正で2024年からは、一般NISAとつみたてNISAを併用できるようになります。
現行の制度と、来年以降利用できる新制度を比較すると下記のとおりです。
つみたてNISA | 一般NISA | 新NISA | |
---|---|---|---|
実施期間 | 2042年まで | 2023年まで | 2024年から恒久化 |
非課税保有期間 | 最大20年間 | 最大5年間 | 期限の制限なし |
累計の非課税投資可能額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円 (内成長投資枠1,200万円) |
年間投資可能額 | 40万円 | 120万円 | つみたて投資枠120万円 成長投資枠240万円 |
なお、ジュニアNISA制度は2023年で終了することになります。未成年の子供がNISA制度を利用したい場合は、今年が最後のチャンスとなります。ジュニアNISAは、年間80万円までの投資枠があり、非課税保有期間は最長5年間ですが、0歳から17歳まで利用できるという意味で、希少性がある制度です。
ちなみに18歳の場合、通常のNISA制度の利用になります。
新制度の魅力とは
①貯蓄と投資の両方が可能
2024年以降利用できる新制度の魅力は、貯蓄に近いつみたてNISAと、売買益を期待する通常NISAを併用できるようになる点です。一般的なニーズとしては「積立を少しずつしたいし、余裕があるときは株式を購入してキャピタルゲインを期待したい」という思いがあります。従来はどちらかを選ぶ必要がありましたが、来年からは両方についてNISA制度が利用できるようになります。
②期間の制限がなくなる
現行の一般NISAは、非課税保有期間が5年間でした。株式投資をする方は、短期間で売買を繰り返すタイプの人と、株式を長期的に保有するタイプの人に分けられます。長期間保有する人は、10年以上にわたって同一銘柄を保有し続けるケースも多く、5年間の保有期間ではメリットが見い出せず、NISA制度を利用しないケースが多かったと思われます。今回の改正で期間制限がなくなり、長期保有の投資家も利用しやすく、かつメリットも十分享受できるようになります。
また、つみたてNISAを利用する場合も、20年間という期間制限がなくなり、働いている間は投資を継続することができるなど、高齢化社会へ対応した形となりました。
③投資枠の拡大
年間の投資枠については、つみたて投資枠が40万円から120万円、株式などを購入する成長投資枠が120万円から240万円と大きく拡大されました。また、累計の投資可能額も1,800万円までと、老後の必要資金の額に近い形となり、生活設計の一部としてNISA制度を利用できるボリュームになりました。
個人的に、令和5年度税制改正の中で一番関心が持てる改正でした。成長投資枠については、気が向いたときに株主優待など魅力のある株式を購入し、それなりに値上がりした時だけに売却するという軽い投資でも、十分メリットが得られます。
またつみたて投資枠については、低金利時代に定期預金の代わりにNISAという選択もあり得るかなと感じました。
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