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2025年10月10日号 (第554)
東京都が21年間分の消費税について未納
みなさん、こんにちは。10月になり随分と秋めいてきました。寒暖差があり体調を崩しやすいので気を付けましょう。また、コロナも流行っているようですので、マスクなどの自己防衛も重要です。
さて今回は、東京都の消費税未納問題についてご紹介します。
東京都が消費税未納との報道
9月後半になって、東京都の消費税未納問題が報道されました。今回問題になっているのは、「東京都都営住宅等事業会計」と呼ばれる東京都の特別会計です。特別会計とは、特定の事業のために設けられる独立した会計単位で、消費税法上は一つの会社のような取扱いとなります。あらゆる事業をまとめて管理すると規模が大きすぎ不鮮明になるため、収支を個別に管理するために必要に応じて特別会計を設けることになります。東京都の資料によれば、下記のような形になっています。
今回の事例は、特別会計に一定規模の課税売上高があるのに、消費税の納税義務を認識していなかったことによるミスです。住宅の貸付は非課税なので無関係と思っていたところ、駐車場収入や太陽光の収入が巨額になっていったのかもしれません。実際、消費税の納税義務が生じない特別会計の方が多いと思われるので、監査を含めてチェック体制がなかったのかもしれません。
きっかけはインボイスで納税は4年分
新聞報道によると未納が21年間とのことですが、納税を行った分は2019年分から2022年分の4年分です。この点についてネット等で批判の声が上がっていますが、それ以前の分については法律上時効が成立しています。
今回の未納の発覚は、インボイス制度が始まり2023年分の申告を行ったことで、2025年になって国税庁から照会を受けたとのことです。実は、インボイスがきっかけで消費税の未納が発覚した事例は、青梅市の水道事業についても報道されており、自治体だけではなく、波及効果は相当数あったのではないでしょうか。
消費税納税におけるミスは、入り口で間違った判断を行い、前年の処理を踏襲することでミスを継続し続ける事例がありがちです。納税が過少になっている場合だけでなく、余分に納税しているケースもありますので、気になる場合はしっかりと検証を行いましょう。
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