税務最新情報

2025年10月22日号 (第555)

給与の水準を確認してみたい

 みなさん、こんにちは。総理大臣が変わることで、今年の税制改正に影響が出るかもしれません。税制は政治的に最もアピールできる部分の一つですので、今後の動向から目が離せない状況ですね。

 さて今回は、中小企業の経営者の方が気にされている給与水準について検討していきます。

国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」

 クライアントとの会話の中で「当社の給与水準は高いのか安いのか?」あるいは、「新規に雇用をした際、給与をいくらくらいに設定したらよいのか?」との質問を受けることがあります。

 正直な話、給与については年齢、業種、地域によって変わってくるため、具体的な数字をすぐに提示することは難しいです。参考にできる資料として、国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」があります。

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2024/pdf/R06_000.pdf

 例年9月に前年分調査結果が公表されており、上記が令和6年分です。

確認すべき項目

 この調査は総ページ数が280ページ以上あるため、全てを読む必要はありません。

 15ページに平均給与の記載があり、以下のように記載されています。

 1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は478万円(対前年比3.9%増)であり、これを男女別にみると、男性587万円(同3.2%増)、女性333万円(同5.5%増)となっている。

 上記は企業規模に関係ない平均値なので、事業所の規模に応じた平均値を確認したい場合は18ページに、以下のように記載されています。

 1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与を事業所規模別にみると、従事員10人未満の事業所においては392万円(男性486万円、女性282万円)となっているのに対し、従事員5,000人以上の事業所においては539万円(男性694万円、女性335万円)となっている。

 また、業種別の平均値は20ページに記載されており、以下のように記載されています。

 1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与を業種別にみると、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の832万円、次いで「金融業,保険業」の702万円となっており、最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の279万円となっている。

 それ以外にも、年齢別の平均給与(21ページ)、勤続年数別の平均給与(22ページ)などの情報が掲載されています。

 ご自身の会社の給与水準がどのくらいの位置にあるのか、また給与規定が整備されていない中小企業で新しく入社した人に、どのくらい給料を払うべきかの参考資料としては非常に有用です。

民間給与実態統計調査で読みとれない資料

 民間給与実態統計調査は、バイアスの少ない情報として非常に有用ですが、地域的な差異が読みとれないという側面があります。

 例えば、地域別最低賃金の全国加重平均の金額と地域ごとの最低賃金の比率などを加味することで、地域性に多少は対応可能となります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

 またこれ以外に、民間の転職サイトや求人サイトの情報なども役に立つため、可能であれば参考にしてみるとよいでしょう。

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