税務最新情報
2025年12月10日号 (第560)
インボイスの取扱いに関するQ&Aの更新
みなさん、こんにちは。年内も残すところわずかとなりました。来年度の税制改正大綱ですが、例年であればそろそろ公表の時期です。しかし今年は少し遅れるとの噂もあります。予想される改正内容については税務雑誌などで取り上げられ始めていて、次回の原稿でトピックとなる部分をご紹介できればよいかと考えているのですが、遅れ気味との噂から、何かどんでん返しがあるのかもしれませんね。
今回は消費税の経過措置がらみで、10月28日に国税庁がQ&Aを更新したので、その内容についてご紹介していきます。下記の問Ⅷと問Ⅸです。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0025002-059.pdf
免税事業者からの仕入れに関する経過措置
インボイス導入にあたって、経過措置と呼ばれる取扱いが多数あります。今回、国税庁のQ&Aで取り上げているのは、下記の取扱いについてです。
| 適格請求書等保存方式の下では、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等の交付を受けることができないことから、仕入税額控除を行うことができません。 ただし、適格請求書等保存方式開始から一定期間は、免税事業者等からの課税仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。 具体的に、経過措置を適用できる期間等は以下のとおりです。 ①令和5年10月から令和8年9月まで 仕入税額相当額の80% ②令和8年10月から令和11年9月まで 仕入税額相当額の50% |
来年の10月以降は、免税事業者等からの課税仕入れについて、控除できる割合が50%に切り替わることとなっており、その具体的な事例を2つ紹介しています。
令和8年10月1日前後の取引
令和8年9月21日から提供を受けている役務について、令和8年10月20日に完了して、10月末に代金を支払う場合に、80%控除になるか50%控除になるかという内容です。役務提供については、役務の全部が完了した日で判断して、結論は10月20日の取引と考えて50%控除になるとする内容です。
また、物品の仕入れについては、引渡しがあった日で判断するため、締め日が20日として、9月21日から10月20日の請求書がある場合に、9月末まで納品分は80%で、10月1日から10月20日までの納品分は50%の控除となる旨の説明です。
前払費用に係る免税事業者等からの経過措置の適用
法人税で、短期前払費用について、支払った日の属する事業年度に損金算入できる取扱いがあります。例えば、令和8年1月に、1月~12月までの保守費用を一括して支払った場合に、支払った時点での損金にできるという取扱いです。
この場合、前払費用の支払先が免税事業者である場合には、厳密には9月分までは80%の控除、10月以降に対応する分は50%の控除となるはずですが、Q&Aでは、「1年間分の保守料金全額について仕入税額相当額の 80%の割合により本経過措置の適用を受けることとして差し支えありません。」と、全体について80%の控除をすることを認めています。
正直なところ、弾力的な運用が認められてよかったと思います。継続的な役務提供などについて、厳密な処理をと言われてしまうと厄介です。1年分の一括払いなどは、少額な取引ほどありがちですし、実務的に追いきれない部分だと思います。
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