税務最新情報

2021年04月30日号 (第395)

経営者と簿記

 みなさん、こんにちは、原稿執筆時点では緊急事態宣言になりそうという雰囲気ですが、この記事が公表される頃には緊急事態宣言中のはずです。昨年と異なるのは、持続化給付金がないことと、休業要請が昨年に比べると小さいと予測されていること、経営視点で考えると厳しい環境です。

 さて、今日は、私の持論ですが経営者に簿記を学んでほしいという話です。

◆儲かりすぎちゃったから車買っていい?

 あるお客さんから、電話があって、「4月がすごい売上になっちゃって、儲かりすぎちゃったから、車買っていい?」、必要なら買って構わないですが、費用になるのは減価償却費部分ですよと言う話をしていくと、納車は3ヶ月後で、手付で100万円入れるから、費用にならないかなという話でした。購入して使い始めれば、減価償却費部分は費用になりますが、納車はまだという話なので、1円も費用にならない話でした。

◆税金払いたくないのでボーナスを払ってよいですか?

 元営業マンで社長になったばかりの経営者の方から、「税金払うのもったいないので、従業員にボーナスを払って赤字にしてよいですか?」と問い合わせがありました。昨年、コロナで債務超過になったばかり、今期は持続化給付金と、雇用調整助成金と、昨年の4月5月の緊急事態宣言の反動で辛うじて黒字です。繰越欠損金があるので、税金の心配はない会社なのですが、債務超過でも黒字が出そうだと税金の心配になってしまうのですね。コロナ融資で、借金も多額にあります。元営業マンなので、従業員の気持ちが解るというか、還元したいのだろうなという思いが伝わってきます。

◆簿記を必須科目にすべき!

 仲間内の会話で、中学生の必須科目に簿記を加えたらよいという話題が出ます。租税教育はやっていますが、簿記の学習はありません。上記に記載したような質問は、簿記3級の知識があって、減価償却という概念を学べば起きません。また、債務超過の状態で、ボーナスを支払うという感覚も貸借対照表を真剣に読んでいれば起きないと思います。

 また、税金を払うくらいなら賞与を出したいとか、保険に入るという発想が未だにあります。保険業界が長年、節税のための保険という風土を作ってきた努力の結果ですが、経営的な視点からは、節税することより内部留保をしていくことが大切です。

 100万円の利益がでて、30万円の納税があるので、もったいないから100万円の賞与を支払ってしまう。税金はゼロになりますが、内部留保もゼロです。100万円の利益がでて、30万円の税金を払っても、70万円手元に残れば、将来のリスクに役立ちます。それこそ、昨年であれば、内部留保3億円ほどの多店舗経営の小売店が、コロナの影響で2億円の赤字という実例を目の当たりにしました。

コロナの緊急融資があったので、例え債務超過になったとしても即座に倒産には至りませんが、コロナの影響で、過去の内部留保をあっさりと使い切って、債務超過転落の会社も多くあります。

 損益の仕組みを把握する意味でも、簿記の学習は重要ですが、コロナの影響を受けて、最近は貸借対照表の読み方が非常に大切だと感じるようになりました。簿記の知識があれば、理解の速度が10倍くらい変わるのではないかと思います。今一度、簿記の勉強をしてみてくださいと感じるのです。

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