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2021年09月01日号 (第407)

インボイス制度に向けて適格請求書発行(課税)事業者になるかを検討しましょう

 みなさん、こんにちは、9月になりました。今年は、年始からずっとコロナで、落ち着きません。お客さんへもテレワークが普及して、訪問の機会が激減しています。

 さて、今年の10月から適格請求書(インボイス)発行事業者の登録の申請が可能となります。今回は、それらについて検討していきます。

適格請求書を発行できないデメリット

 インボイス制度導入後、登録事業者になっていないと、適格請求書を発行できません。つまり、取引先は適格請求書を受け取ることが出来ないため、仕入税額控除が受けられないことになります。適格請求書を受け取ることで、消費税が10%であれば税込み1,100円で購入した場合に、消費税申告の際に100円の消費税が控除されるので、税抜の1,000円の負担で済んでしまいます。
 逆の立場で考えると、適格請求書を発行できないことを理由に取引が減少してしまうことや、控除できない消費税相当分について値引きをしなければならない可能性があります。
 ただ、このあたりは、当面は経過措置により、適格請求書がなくても、購入金額の一定割合については税額控除が認められるので、非常に読みにくい部分でもあります。

すでに課税事業者の場合

 すでに、課税事業者の場合は、適格請求書発行事業者の登録をすることで、当面の経済的なデメリットは生じません。むしろ、適格請求書発行事業者の登録をすることを失念して、インボイスを発行できない期間が生じてしまうリスクを考慮すると早めに登録を行うことが無難だと思われます。
 課税事業者の場合で、適格請求書発行事業者の登録をすることのデメリットを考えてみると基準期間の課税売上高の減少で、本来なら免税事業者になれる場合に、免税事業者になれないこと、課税事業者選択不適用届出書の提出期限が、登録していない事業者より早くなることなどが考えられます。別な言い方をすると、課税事業者と免税事業者を行ったり来たりしている事業者は、検討が必要です。

業種別にみる登録事業者になるか否かの検討

 課税事業者と免税事業者を行ったり来たりしているような事業者は、適格請求書発行事業者になってしまうと、事業者免税点制度を利用できないというデメリットがあります。
 業種が、完全に消費者向けの事業者で、事業者が利用することがほとんどない業種、例えば学習塾、整骨院などは適格請求書発行事業者とならなくても、ほぼデメリットはないように考えられます。仮に、事業者免税点制度が利用できる売上高なら、免税事業者でいた方が有利と思います。逆に事業者向けの事業者であれば、インボイスが発行できないことで仕事が減少してしまうリスクがあるので、適格請求書発行事業者にならざるを得ないと思います。
 悩ましいのは、大部分は消費者で適格請求書は不要だけれど、ごく一部のお客さんは適格請求書を必要とする場合です。厳密には、適格請求書を必要とする割合次第となります。例えば全体の5%程度の顧客が適格請求書を必要とする場合は、5%の顧客をすべて失ったとしても、免税事業者でいたほうが有利になるかもしれません。
 微妙な場合には、消費税が確実に転嫁できる業種は、仕入にかかる消費税を考慮すると、適格請求書の発行の必要性があれば、適格請求書発行事業者になってよいと思います。一方で、小売業で、飲食店など、980円とか、500円など売値が先に決まっているような場合には、適格請求書発行事業者となり課税事業者となるより、免税事業者でいた方が有利かもしれません。

 適格請求書発行事業者になるか否か、意外と難しい問題のように思います。まだ、インボイス方式導入まで時間はありますが、じっくりと考えていく必要がありそうです。

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