税務最新情報

2021年10月20日号 (第412)

電子帳簿保存法の改正による混乱

 みなさん、こんにちは、税金関係の雑誌や税理士同士の話題で熱いのは、インボイスの話題と電子帳簿保存法の話題です。インボイスの件については、何回か取り上げていますし、実際に導入されるのは令和5年なので、今回から何回かに分けて電子帳簿保存法の話題をご紹介していきます。

 今回は、総論的な話と問題提起ということで、現場でどのような問題が起こっているかということについてご紹介していきます。

電子帳簿保存法改正の趣旨

 電子帳簿保存法は、正式には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と呼ばれ、税金に関する帳簿等を電子保存する場合に関するルールを定めています。

 そして、令和4年1月1日から施行される、改正電子帳簿保存法の趣旨は、下記の2つの骨子からなります。

 電子帳簿の保存について、①事前承認を不要にして、②従来の電子帳簿保存法で認められていた要件を満たす電子帳簿を優良な電子帳簿として、届出書の提出により、過少申告加算税の軽減などの措置を設ける、③通常の会計システムを使っていれば紙での帳簿の印刷が不要になるなどの、電子帳簿の保存に関する簡素化の内容が1つ目です。

 次に、原始資料についてスキャナ保存する場合の要件についても、①事前承認が不要となり、②タイムスタンプ要件、検索要件について緩和され、③相互牽制など小規模な事業者では不可能とされた、適正事務処理要件は廃止されました。

 全体的に見ると、大法人にしか利用できなかった電子帳簿保存法を、中小企業レベルでも利用できるように簡素化することが趣旨です。

大企業で混乱も

 全体の方向性は、簡素化なのですが、電子取引については改正により要件が厳しくなるように思われる部分があります。国税庁のQ&Aで、リンク先は下記です。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_06.pdf

【保存方法】

問22 請求書や領収書等を電子的に(データで)受け取った場合、どのように保存すればよいですか。

【回答】

 電子的に受け取った請求書や領収書等については、データのまま保存しなければならないこととされており(法7)、その真実性を確保する観点から、以下のいずれかの条件を満たす必要があります(規4①)。

(1)タイムスタンプが付与されたデータを受領(規4①一)

(2)速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付与(規4①二)

※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事項に処理に関する規程を定めている場合に限る。

(3)データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用(規4①三)

(4)訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け(規4①四)

 また、事後的な確認のため、検索できるような状態で保存すること(規2⑥六)や、ディスプレイ等の備付け(規2②一イ、二)も必要となります。

 

 上記の場合で、(1)と(2)は電子データで請求書、領収書が届いた場合にタイムスタンプを付せば良いのですが、スタンプ1回ごとにコストが生じます。

 また、(3)の訂正削除を行った場合に記録が残るシステム、訂正削除ができないシステムは、専門家に言わせると物理的に無理だとのこと、もっと端的に言えば削除できないシステムはありえないだろうとの意見があります。

 (4)については、検索できる状態というところも、非現実的です。例えば添付について串刺しでテキスト検索できたとしても、日付での範囲検索とした場合に、請求日、納品日、メールのやり取りの日付などいろいろなテキスト情報が含まれているので、販売システムや会計システムのような取引日を指定しての検索は難しいと思います。

 コンプライアンスの関係から法令重視を意識する大法人で、ルール通りに保存できないので、当面の間、請求書は紙で送ってくださいなどとの依頼が来ているというケースも耳にしました。本来は、簡素化なのですが、削除できないシステムとか、検索の要件などで、諸条件を整えるのは意外と難しそうです。

記事提供
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