令和6年度税制改正に関するスローガン
 
○財政健全化は国家的課題。負担を先送りせず現世代で解決を!
○企業への過度な保険料負担を抑制し、経済成長を阻害しない社会保障制度の確立を!
○経済再生には中小企業の力が不可欠。健全な経営に取り組む企業に実効性ある支援を!
○中小企業は地域経済と雇用の担い手。本格的な事業承継税制の創設を!

 

令和6年度税制改正に関する提言(重点項目)

1.税・財政改革のあり方

・財政健全化は国家課題であり、本格的な歳出・歳入の一体改革を進めることが重要である。歳入では安易に税の自然増収を前提とすることなく、また歳出については聖域を設けずに分野別の具体的な削減・抑制の方策と工程表を明示し、着実に改革を実行するよう求める。

・歳出だけを先行させ、財源論を置き去りにする手法は財政規律を決定的に毀損させかねない。まずは2025年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化目標を確実に達成せねばならないが、その後の財政健全化の議論も並行して開始する必要がある。その際には財政規律を確立するための新たな健全化目標や実効性を担保できる財政運営手法が欠かせない。

・少子化対策の財源として社会保険料の上乗せ案が挙げられているが、中小企業の厳しい経営実態を踏まえ、企業への過度な保険料負担を抑え、経済成長を阻害しないような制度づくりが求められる。また、配偶者控除等の税の問題や年金等の社会保障の問題は就労調整が行われる一つの要因とされており、人手不足で悩む中小企業にとって深刻な問題である。女性の就労を支援する政策を含め、税制と社会保障の問題を一括して議論すべきである。

・行政改革を徹底するに当たっては、地方を含めた政府・議会が「まず隗より始めよ」の精神に基づき自ら身を削ることが肝要である。直ちに明確な期限と数値目標を定めて改革を断行するよう強く求める。

・マイナンバー制度について、政府は国民の不安を払拭するために、制度の運用に当たっては個人情報の漏洩、第三者の悪用を防ぐためのプライバシー保護などが担保される措置を徹底することが重要である。そして制度の意義や利便性について改めて丁寧に説明し理解を求めていかなければならない。

 

2.経済活性化と中小企業対策  

1.中小企業の活性化に資する税制措置
原材料をはじめとした物価の高止まりは我が国経済、とりわけ中小企業に大きな重荷となっている。いまだにコロナ禍による打撃を引きずっているところも少なくない。中小企業は地域経済と雇用の担い手であるだけでなく、我が国経済の礎である。健全な経営に取り組んでいる企業が立ちゆくよう実効性ある支援をすること。

(1)法人税率の軽減措置
中小法人に適用される軽減税率の特例15%を本則化すべきである。また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。

(2)中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置
租税特別措置については、公平性・簡素化の観点から、政策目的を達したものは廃止を含めて整理合理化を行う必要はあるが、中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置は、以下のとおり制度を拡充したうえで本則化すべきである。

①中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。
②少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置については、損金算入額の上限(合計300万円)を撤廃し全額を損金算入とする。なお、それが直ちに困難な場合は、令和6年3月末日となっている適用期限を延長する。

 

3.事業承継税制の拡充

2.事業承継税制の拡充
我が国企業の大半を占める中小企業は、先に指摘したように地域経済や雇用の確保などに大きく貢献している。中小企業が相続税の負担によって事業が承継できなくなれば、経済社会の根幹が揺らぐことになる。

(1)事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設
我が国の納税猶予制度は、欧州主要国と比較すると限定的な措置にとどまっており、欧州並みの本格的な事業承継税制が必要である。とくに、事業継続に資する相続については、事業従事を条件として他の一般資産と切り離し、非上場株式を含めて事業用資産への課税を軽減あるいは免除する制度の創設が求められる。

(2)相続税、贈与税の納税猶予制度の充実
平成30年度税制改正では、中小企業の代替わりを促進するため、10年間の特例措置として同制度の拡充が行われたが、特例承継計画の提出件数は伸び悩んでおり、政府は制度の検証を行う必要がある。また、特例承継計画の提出期限は1年間延長され、令和6年3月末日までとなっているが、コロナ禍からの完全回復には時間がかかるうえ、エネルギー価格が高止まりしているなど、中小企業を取り巻く環境は依然厳しい状況にある。特例承継計画の提出期限等の延長を求めるとともに、事業承継がより円滑に実施できるよう以下の措置を求める。

①猶予制度ではなく免除制度に改める。
②コロナ禍の影響などを考慮すると、より一層、平成29年以前の制度適用者に対しても要件を緩和するなど配慮すべきである。
③国は円滑な事業承継が図られるよう、経営者に向けた制度周知に努める必要がある。

(3)取引相場のない株式の評価の見直し
取引相場のない株式の評価については、企業規模や業種によって多様であるが、企業価値を高めるほど株価が上昇し、税負担が増大する可能性があるなど、円滑な事業承継を阻害していることが指摘されている。取引相場のない株式は換金性に乏しいことを考慮し、評価のあり方を見直す必要がある。

4.消費税への対応

 政府は、軽減税率制度とインボイス制度について、国民や事業者への影響、低所得者対策の効果等を検証し、問題があれば制度の是非を含めて見直しが必要である。

(1)インボイス制度の導入にあたり、国は事業者に混乱が生じないよう制度の周知を徹底するとともに、事務負担を軽減するような環境整備が必要である。また、課税事業者が免税事業者と取引を行う際、取引価格の引き下げや取引の停止などの不利益を与えないよう、実効性の高い対策をとるべきである。

(2)消費税の滞納防止は税率の引き上げやインボイス制度の導入に伴ってより重要な課題となっている。消費税の制度、執行面においてさらなる対策を講じる必要がある。

(3)インボイス制度や電子帳簿保存法の改正による電子データ保存の義務化に対応するため、事業者の事務負担、納税協力コストは年々増加している。システム改修や従業員教育などについて、中小企業に対する特段の配慮が求められる。

 

◆行動する法人会(全国版)