〇中小企業にとって事業承継は重要な課題。本格的な事業承継税制の創設を!
令和2年度税制改正に関する提言(重点項目)
1.税・財政改革のあり方
(1)財政健全化に向けて
財政健全化は国家的課題であり、歳出、歳入の一体的改革によって進めることが重要である。
歳入では安易に税の自然増収を前提とすることなく、また歳出については、聖域を設けずに分野別の具体的な削減の方策と工程表を明示し着実に実行する。
(2)社会保障制度に対する基本的考え方
社会保障給付費の財源は公費と保険料である。適正な「負担」と重点化・効率化による「給付」の抑制を可能な限り実行しないと、持続可能な社会保障制度の構築も財政の健全化も実現できない。
(3)行政改革の徹底
今般の消費税率引き上げは国民に痛みを求めるものであり、その前提として「行革の徹底」が不可欠であったことを想起せねばならない。
地方を含めた政府・議会が「まず隗より始めよ」の精神に基づき自ら身を削らなければならない。
(4)消費税引き上げに伴う対応措置
本年10月から導入される軽減税率制度は事業者の事務負担が大きいうえ、税制の簡素化、税務執行コストおよび税収確保などの観点から問題が多い。このため、かねてから税率10%程度までは単一税率が望ましく、低所得者対策は「簡素な給付措置」の見直しで対応するのが適当であることを指摘してきた。軽減税率制度導入後は、国民や事業者への影響、低所得者対策の効果等を検証し、問題があれば同制度の是非を含めて見直しが必要である。
(5)マイナンバー制度について
マイナンバー制度はすでに運用段階に入っているが、依然としてマイナンバーカードの普及率が低いなど、国民や事業者が正しく制度を理解しているとは言い難い。
政府は引き続き、制度の意義等の周知に努め、その定着に向け本腰を入れて取り組んでいく必要がある。
2.経済活性化と中小企業対策
(1)軽減税率15%の本則化と適用所得金額の拡大
中小法人に適用される軽減税率の特例15%を本則化すべきである。また、昭和56年以来800万以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。
(2)中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置の拡充と本則化
軽減税率15%の本則化と適用所得金額の拡大租税特別措置については、公平性・簡素化の観点から、政策目的を達したものや適用件数の少ないものは廃止を含めて整理合理化を行う必要はあるが、中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置は、以下のとおり制度を拡充したうえで本則化すべきである。
①中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。
②少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置については、損金算入額の上限(合計300万円)を撤廃し全額を損金算入とする。
なお、それが直ちに困難な場合は、令和2年3月末日までとなっている特例措置の適用期限を延長する。(3)中小企業向け税制措置の手続きの簡素化等中小企業経営強化税制(中小企業等経営強化法)や、中小企業が取得する償却資産に係る固定資産税の特例(生産性向上特別措置法)等を適用するに当たっては、手続きを簡素化するとともに、事業年度末(賦課期日)が迫った申請や認定について弾力的に対処する。
3.事業承継税制の拡充
(1)事業用資産を一般財産と切り離した本格的な事業承継税制の創設
事業に資する相続については、事業従事を条件として他の一般財産と切り離し、非上場株式を含めて事業用資産への課税を軽減あるいは免除する制度の創設が求められる。
平成30年度税制改正では、中小企業の代替わりを促進するため、10年間の特例措置として同制度の拡充が行われたことは評価できるが、事業承継がより円滑に実施できるよう以下の措置を求める。
このため、計画書の提出期限について配慮すべきである。
4.震災復興等
向けて取り組まねばならない。
※災害等に係る雑損失の繰越控除期間を震災特例法と同じく5年(現行3年)に延長すること(提言書16ページ「雑損控除」参照)。

◆行動する法人会(全国版)

◆第36回法人会全国大会(三重大会)
