東法連ニュース

第2018年(平成30年)5月号 第387号

小黒一正氏を招き税制講演会を開催
テーマは「財政・税制と社会保障を巡る課題」

講演する小黒一正氏

 東法連は3月5日、新宿・京王プラザホテルにおいて、法政大学教授の小黒一正氏を招き、税制講演会を開催した。講演では、「財政・税制と社会保障を巡る課題」をテーマに、今後高齢化が進む中で増大する社会保障費をスリム化できるか、必要な財政を賄えるかなどについて話があった。当日は各会から税制委員、会員、一般の方々など合わせて240人が参加した。

◆日銀の国債大量保有が財政のコスト削減に役立つわけではない

 講演では、まず、日本銀行が大量の国債を購入し、金融緩和に動いていることについて、財政との関係でどういう効果を持っているかの説明があった。現在の状況は、金融緩和で利払い費が減少し財政のバランスが取れている状況で、デフレを脱却していないために、財政が安定するという奇妙な状態になっているとの解説があった。日銀の大量国債保有については、日銀、政府、民間銀行のバランスシートの購入前と後の動きを例示し、財政コストの削減に役立つわけではないこと、国債発行のキャパシティは我々の預金で決まること、金利の上昇に脆弱な構造になっていることなどを説明した。

◆再建の鍵は社会保障費の抑制 保険は保険料で賄う

 また、今後社会保障費が年々増大していくグラフを示し、財政再建の鍵は社会保障費の抑制であること、そのため、今政府は医療費と介護費の抑制に躍起になっているとの話があった。医療費の抑制については、保険はリスク分散であるから、国庫負担の役割を減らして、保険は保険料で賄うことも考えてよい。例えば、風邪など低リスクのものであれば一人当たりの年間医療費も知れているので自己負担を増やすことなどが考えられるとの話があった。

熱心に講演に耳を傾ける参加者

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