税務最新情報

2015年06月22日号 (第262)

軽減税率の方向性

 みなさん、こんにちは、相変わらず、雨が降り、蒸し暑い日が多いですね。体調管理に気をつけましょう。
 今回は、消費税の軽減税率の行方について、最近公表された内容をご紹介します。

秋には制度案を取りまとめる方向?

 税制改正大綱によれば、消費税の軽減税率制度については、平成29年度からの導入を目指すとされています。本当に平成29年度からの実施を行うためには、平成27年の秋には制度案を取りまとめ、平成28年度税制改正に間に合わせる必要が生じます。
 先月22日と27日に、与党税制協議会・消費税軽減税率制度検討委員会の会合が行われるなど着々と準備が進んでいるように見えました。ところが、6月10日になって、与党協議が行き詰まり、当面の間、開催を見送ると報道されました。
 昨年、与党税制協議会から報告書が公表され、こちらの税務関連情報でも、ご紹介しましたが、その時は、あらゆる可能性を紹介するというような漠然としたものでした。

 先月の会合の内容は、軽減税率の対象を「酒類を除く飲食料品」、「生鮮食品」、「精米」に絞って、どのような影響があるかが検討されており、より現実的な話題となっています。

5月に議論された内容

 この5月に議論された内容は、軽減税率の対象を3案に絞り込んでのものでしたが、論点をまとめると以下のようになります。

対象品経理方法長所短所
酒類を除く飲食料品インボイス方式
ただし3年程度は経過措置として請求書等を保存する方式
消費者の理解が得やすい財源に与える影響が大きい
生鮮品インボイス方式
ただし3年程度は経過措置として請求書等を保存する方式
同上同上
精米区分経理に対応した請求書等を保存する方式財源に与える影響が小さい消費者の理解が得にくい

 軽減税率の対象を、酒類を除く飲食料品とすれば、消費者の理解は得られやすいものの、財源に与える影響は大きく、何らかの形で代替財源が必要となります。
 軽減税率の対象を精米に限定すれば、財源に与える影響は少なく、インボイス方式を必ずしも必要としないのであれば実行可能性は高いかもしれません。一方で、消費者の理解を得られるのか否かで疑問が残ります。
 生鮮食品を軽減税率の対象とする場合は、両者の長所短所について折衷的な結果となります。しかし、生鮮食品より価格が安いとされる加工食品が一般税率、生鮮食品が軽減税率となるのは、逆進性で問題があるとの指摘もあります。また、生鮮食品の線引きなども、現実的には難しそうです。
 軽減税率の対象を精米のみとする場合以外は、インボイス方式の導入が不可欠とする方向のようです。インボイスとは法定記載事項が記載されている請求書のようなものと考えてください。3年程度は猶予期間を設けるようですが、インボイスを発行するためのシステムを導入する必要があるなど、インボイスの発行が必要な事業者にとっては負担が生じることに繋がります。

軽減税率の行方を予想すると

 大綱では、平成29年度からの導入を目指すとしていましたが、現状の雰囲気では、時間切れもあり得るのかもしれません。与党協議がまとまらなければ、結果として先送りとなる可能性があります。
 結局のところ、軽減税率を導入して不足する財源をどこから捻出するのか、言い方を変えれば、一般消費税率を引き上げる前提の話しができなければ、軽減税率の話しは先に進まないのかもしれません。消費税率10%への引き上げも先送りしている現状では、触れることが難しい話題で、先送りせざるを得ないのかもしれません。 

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