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2025年04月10日号 (第536)

令和7年度改正税制が公布

 みなさん、こんにちは。4月になりました。3月決算法人は決算作業に突入ということで慌ただしいです。防衛特別法人税導入の影響で、税効果会計を実施している企業では実効税率の変更となります。

 さて今回は、税制改正の公布と最近の傾向についてご紹介していきます。

令和7年度税制改正の公布は3月31日の23時25分

 さて、今年は少数与党ということで国会の審議が遅れ気味となり、令和7年度税制改正が特別号外で公布されたのが、3月31日の23時25分となりました。

https://www.kanpo.go.jp/issueDateTime.html

 官報がネットで公表される時代だからこそ可能な、ギリギリの公表でした。多くの法律は4月1日施行になっているので、間に合わせるには3月31日までの公布が必要になります。ちなみに、法律の公布と同時に法人税法施行令などの政令、法人税法施行規則などの省令の公布も必要となります。政省令を定める閣議は通常、火曜日と金曜日に行われるのですが、3月31日に公布されていますから、31日の月曜日に臨時閣議が行われたのでしょう。

 毎年行われる税制改正ですが、舞台裏の状況もかなり深刻な雰囲気です。政治家はともかく、役所の人は寝ずの仕事なのではないでしょうか。

税制改正の傾向

 最近の税制改正の傾向ですが、ひたすら複雑になっているという雰囲気です。今年の税制改正でもっとも顕著なのが「基礎控除」です。本来の目的は、最低生活費を保障する制度ですから、「全ての人に一律に」というのが自然な流れです。令和元年までは、所得に関わらず一律の金額でした。令和2年から所得制限が設けられ、さらに今年の改正で基礎控除とは思えないくらい複雑な内容になりました。

 基礎控除以外にも、組織再編税制、消費税の仕組みなど、あらゆる税法で複雑化が進んでいます。税法の基本原則として、古くから「公平」、「中立」、「簡素」とされてきたのですが、最近は簡素でなくなる傾向が進んでいるように考えられます。もっとも、昔が簡素だったかと言うとそうとは言えないのですが、複雑化が加速していると感じます。

 複雑化している原因を正当化するとすれば、それは公平性や中立性とのバランスです。今年の改正の基礎控除に関して言えば、一律の制度とすると高所得者優遇になってしまうので、所得による階層性にしたということです。

 一方で、租税回避を封じるために複雑化されている部分も多くあり、組織再編税制や消費税改正については、租税回避を封じるための改正を積み重ねているように感じます。

 また現実的な要素として、複雑化に耐えられる環境になっていることも影響しています。私が実務を始めた時代は、法人の場合でも、振替伝票の裏に簡易な試算表を作成して、それを手計算で積上げて決算書を作成していました。年末調整は手引きをみながら源泉徴収簿で手書きの計算、消費税についても試算表の数字を勘定科目ごとに割り返すような計算ですから、複雑な実務は不可能でした。現在は、パソコンやスマホに入力するだけの作業の積み重ねですから、複雑な制度にも結果として対応できてしまっているという状況です。

 

 税制改正が3月31日の23時を過ぎてインターネットで公布され、パソコンなしでは不可能に近い税金の計算をすることになり、なかなか大変な時代になりました。

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