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2025年04月01日号 (第535)

令和7年度税制改正 基礎控除の特例

 みなさん、こんにちは。国会での審議を経て、基礎控除の特例が創設されることになりました。国民民主党が103万円の壁について178万円まで引き上げることを提案したものの、与党との協議がまとまらず、与党は日本維新の会との合意を得て「基礎控除の特例」という形での改正となりました。今回は基礎控除の特例について、ご紹介していきます。

前提となるのは税制改正大綱の内容

 令和7年度税制改正大綱の内容としてご紹介した、基礎控除と給与所得控除の合計が103万円から123万円に引上げられるという内容については、以前ご紹介した記事のとおりです。

https://www.tohoren.or.jp/taxinfo/2025012021456.html

 今回、国会で審議されたのは上記の改正を前提に、さらに「基礎控除の額を上乗せ」するという内容です。形として上記改正は生きていますが、実務としては基礎控除の特例を考慮した後のものが、改正の内容となります。

基礎控除の額はいくらになるのか

 基礎控除という名称ですが、下記のように給与収入に応じて基礎控除が変動する仕組みとなります。

給与収入基礎控除の額
200万円相当以下95万円
200万円相当~475万円相当以下88万円
475万円相当~665万円相当以下68万円
665万円超~850万円以下63万円

 令和6年までの基礎控除は48万円、税制大綱段階では58万円となりましたが、給与収入が200万円相当以下の人の場合は基礎控除が95万円となります。

 上記で、200万円「相当」という違和感のある表現をしているのは、与党の説明が下記の通りだからです。

https://storage2.jimin.jp/pdf/news/information/210056_1.pdf

 給与収入の金額で説明をしており、下記の国税庁資料に当てはめると、給与収入が200万円から200万4千円までの部分が基礎控除95万円となります。所得金額に置き換えると、132万円がラインとなるのでしょう。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2024/pdf/17.pdf

大部分は2年限定の特例

 今回の改正をややこしくしているのが、上記の基礎控除について、200万円相当以下の部分については恒久的な取り扱いですが、それ以外の部分は令和7年と令和8年の2年間限定です。

 さらに、法律が施行されるのは12月1日となっています。年末調整でつじつまを合わせるという方針であることは想像ができますが、亡くなった方の準確定申告を11月までに行う場合、基礎控除の特例前の法律で申告して、12月を過ぎてから更正の請求という特殊な取り扱いになってしまいます。

 

 基礎控除の本来の趣旨からすれば、所得金額に応じて変動するなど複雑な制度ではなくシンプルな方が望ましいのですが、今回はさらに2年間の暫定的な取り扱いとなり、一般の人にとっては、数字のつながりが見えなくなってしまいそうです。

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