税務最新情報
2025年03月21日号 (第534)
令和7年度税制改正 消費税関係
みなさん、こんにちは。確定申告が終わり、桜の開花予想など春らしい情報が流れてきます。今年の開花は比較的早そうですね。
さて、今回は令和7年度税制改正の消費税関係の改正をご紹介します。
輸出物品販売場におけるリファンド方式の導入
輸出物品販売場における販売については、大手百貨店・ドラッグストアなどが、税務調査で輸出免税の要件を満たさない販売があったとして、追徴課税されたとの報道が相次いでいました。対顧客との問題もあり、現場ではなかなか難しい状況だったと考えられます。
令和6年度税制改正大綱の中で、令和7年度改正において改正を行うとの記載がありましたが、それを受けて、リファンド方式が導入されることになりました。リファンド方式という言葉に疑問を持たれる方も多いようですが、リファンドとは簡単に言えば「払い戻し」という意味です。海外旅行をした際、免税店で購入すると一旦は消費税込みで決済を行い、空港で出国する際に、税関で免税スタンプを押してもらい、払い戻しカウンターで払い戻しをしてもらう形となっていますが、同様の方式と考えてください。
日本版リファンド方式の具体的内容
日本におけるリファンド方式ですが、下記のような仕組みとなります。
① 輸出物品販売場を経営する事業者が、免税購入対象者に対して免税対象物品を譲渡した場合、購入者が購入した日から90日以内に出港地の税関長による確認を受けたときは、その確認をした旨の情報を事業者が保存することを要件に、その免税対象物品の譲渡について、消費税が免除されます。
② 免税購入対象者は、購入した免税対象物品について、出国時に旅券等を提示して税関長の確認を受け、その確認を受けた免税対象物品を国外に持ち出さなければならないこととされます。
③ 税関長は、輸出物品販売場を経営する事業者に対し、購入記録情報ごとに、国税庁の免税販売管理システムを通じて税関確認情報を提供するものとされます。
実務の流れとしては、店頭では消費税込みで販売を行い、その時点では国内販売と同様に課税売上として処理を行い、税関から確認情報が届いた段階で、免税売上に振替える処理になります。消費税部分の金額については、いったん税込みで決済され、税関長の確認後にカード会社などの払い戻しカウンターで手続され、その後に決済金額が減額される仕組みとなることが予測されます。
免税対象物品の範囲の見直し
消耗品について免税購入対象者の同一店舗一日当たりの購入上限額及び特殊包装を廃止するとともに、一般物品との区分が廃止されます。
免税販売の対象外とされている通常生活の用に供しないものの要件を廃止し、金地金等の不正の目的で購入されるおそれが高い物品は、免税販売の対象外とされる物品として個別に定める仕組みとなります。
免税販売手続の見直し
① 船舶観光上陸許可等により上陸する者の免税販売手続は、上陸許可書及び旅券の提示を求め、輸出物品販売場を経営する事業者は、旅券番号に基づき購入記録情報を提供するものとします。
② 日本国籍を有する免税購入対象者が、国内に2年以上住所等を有しないことの証明書類に個人番号カードを追加し、輸出物品販売場を経営する事業者は、証明書類の種類及び国外転出等をした日を購入記録情報として送信することとし、その証明書類の保存は不要とされます。
③ 税抜き100 万円以上の免税対象物品は、購入記録情報の送信事項に、その免税対象物品を特定するためのシリアルナンバー等の情報が加えられます。
④ 免税購入対象者が輸出物品販売場で運送契約を締結し、その場で物品を運送事業者へ引き渡す、いわゆる「直送」による免税販売方式は、輸出免税制度により消費税を免除されることになります。直送形式については不正に多く利用されていたため、正規の輸出免税の要件とすることで平仄を合わせることになりました。
上記の改正については、「直送」方式の廃止以外の部分は、令和8年11月1日以後の譲渡について適用されます。「直送」方式の廃止は令和7年3月31日となります。
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