税務最新情報
2025年03月10日号 (第533)
令和7年度税制改正 資産税関係
みなさん、こんにちは。確定申告期限直前です。3月15日は、昨年の所得税の確定申告期限であるだけではなく、今年から青色申告を受けたい場合の、青色申告承認申請書の提出期限となりますのでご注意ください。
さて今回は、今年度税制改正の中の資産税関係の内容をご紹介していきます。
結婚・子育て資金の一括贈与制度の期限の延長
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限が2年延長され、令和9年3月31日までとなります。
制度の内容としては、父母・祖父母などから結婚や子育てのために一括で贈与された資金について、1,000万円まで非課税とするものです。このうち、結婚のための費用は300万円が限度とされています。贈与を受ける者は18歳以上50歳未満とされており、贈与された資金は結婚式の費用や、妊娠・出産・育児に必要な費用に充てることが可能です。
教育資金贈与と同じように「結婚・子育て資金口座」を開設し、資金を引き出した場合は、金融機関に領収書を提出していくという流れで利用します。
事業承継税制の改正
本来、事業承継税制は、承継対象の会社の株式の3分の2までを、8割引で相続できる制度です。ところが令和9年12月31日までは特例制度となっており、承継対象の会社の株式の全部について10割引で相続できるようになっています。10割引といっても納税猶予制度ですから、要件から外れた場合に納税が必要となる場合もありますが、さらに次世代へ事業承継することで猶予税額が免除される仕組みとなっており、うまく機能すれば非常に有利に利用できます。
従来、事業承継税制では、役員(又は事業専従者)として贈与の日まで3年以上継続していることが要件でしたが、贈与の直前に役員(又は事業専従者)であることに要件が緩和されます。令和7年1月1日以後の贈与から適用されます。
固定資産税の軽減措置
中小企業等経営強化法に規定する先端設備等導入計画に基づき、中小事業者等が取得する生産性向上や賃上げに資する一定の機械・装置等に係る固定資産税の課税標準の特例措置については、以下の見直しを行った上、その適用期限が2年延長されます。
① 対象資産を「雇用者給与等支給額の引上げの方針を位置づけた同計画に基づき取得する一定の機械・装置等」に限定する。
② 当該機械・装置等に係る課税標準は、次のとおりです。
雇用者給与等支給額 | 軽減期間 | 課税標準額 |
---|---|---|
1.5%以上引上げ | 3年間 | 2分の1 |
3%以上引上げ | 5年間 | 4分の1 |
本制度は、中小企業が労働生産性の向上を実現するための制度で、固定資産税の特例が受けられるだけでなく、認定を受けた場合に信用保証協会による信用保証について、通常枠とは別に追加の保証が受けられる金融支援も受けられます。
今年の資産税関係の改正は、既存制度の延長と微調整といったイメージで、大きな変化が少ない改正でした。
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