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2024年10月10日号 (第519)
新紙幣対応係る費用の取扱いについて
みなさん、こんにちは。総裁選挙が終わったところですが、いきなり選挙になるのですね。アメリカでは大統領選が行われますし、選挙イヤーになりました。
さて今回は、券売機やレジの自動釣銭機などの新紙幣対応費用について、ご紹介していきます。
券売機や自動釣銭機などのシステム改修費用に注意
7月に新紙幣が発行された影響で、券売機やレジの自動釣銭機に関わるまとまった支出が目につくようになりました。金額が大きいので新たな資産を購入したのかと思いきや、単純なシステム更新で、店舗数の関係で費用が膨らんだだけのケースがありました。一方で、中古品を新たに購入しているケースなどもあって、支払いの内容については請求書などを確認する必要があります。
システム更新についての修繕費処理は可能か?
券売機やレジの自動釣銭機などは、新紙幣に対応しなければ実際の運用は難しいのですが、新紙幣対応のシステム更新費用は修繕費として処理してよいのでしょうか。法人税の基本通達では、下記のような取扱いとしています。
基本通達7-8-2に照らすと、新紙幣に対応することを新たな機能と考えるのか、維持管理のためと考えるのか、どちらとも捉えられるように思えます。なお、基本通達7-8-6の2に照らすと、新紙幣の読み取りができなければ券売機としての機能が果たせない為、その「障害の除去」と考えることができます。また、券売機として使用し続けるための費用で「現状の効用の維持等」に該当するということで、新紙幣への対応の更新費用については、修繕費として取り扱ってよいように思います。
なお、新紙幣対応に合わせてキャッシュレス対応にするなど、新機能を追加するケースもあると思います。このような新たな機能の追加であれば、その機能の追加部分は資本的支出として資産計上という処理になります。実務では、新紙幣対応部分とキャッシュレス対応部分をどのように切り分けるかという、新たな問題が生じます。いずれにしても、修繕費か資産計上かの問題は税務調査で問題になりやすい部分ですので、十分な検討が必要です。
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