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2024年10月01日号 (第518)

会社経営の出口について検討してみよう

 みなさん、こんにちは。大リーグの大谷選手すごいですね。日本で号外が出るだけでなく、世界中でニュースになったようですね。

 さて今回は、会社の出口対策についてご紹介していきます。

法人を畳んだ場合の税金

 赤字続きで、会社の残余財産が資本金を下回るような場合、会社を畳んだとしても税金の心配はありません。一方で内部留保が貯まっており、例えば2億円の残余財産がある場合で、資本金が1,000万円の事例です。2億円が株主に分配されることになりますが、その内の1億9,000万円が株主にとっての配当所得となります。株主が1人だとすれば、他に所得がないと仮定しても所得税と住民税で8,000万円超の税負担となります。

 会社を畳んだ場合の税金については、想定していないケースが多いので、落とし穴になりがちです。

退職金に対する税金

 会社を畳んだ時、内部留保で退職金を支払う予定という話は、多くの経営者が意識しています。実際に退職金として受け取る金額を想定して、積立型の保険に加入しているケースもあります。退職金については、20年勤務していれば800万円、30年勤務していれば1,500万円の退職所得控除があります。退職所得は、退職金から退職所得控除を控除し、更に2分の1として計算されます。仮に30年勤務して、2億円の退職金を受け取った場合には、4,600万円程度の税額となります。

 退職所得控除があることと、退職所得控除を控除した後に2分の1した額が所得金額となるので、最高税率が27.5%程度となり非常に有利です。ただし、不相当に高額な退職金と認定されると、会社側で損金として認められないので、退職金の金額については、常識的なところで決定する必要があります。

さらに有利な出口対策

 会社経営をしていて順調な場合は、退職金を受け取る計算までしているケースはありがちです。実はさらに有利な出口戦略があります。ただし退職金を受け取る場合に比べて、それなりにハードルが高くなります。

 会社が組織として機能する形になっていて、良い条件で購入してくれる相手がいればですが、会社の株式を譲渡するM&Aという形での出口対策があります。株式の譲渡であれば税率が20%程度ですから、退職金を受け取る形よりも有利になります。この場合も、実務としては退職金の支給で退職所得控除を取り、それにM&Aを組み合わせるなど、実質の税率は20%を下回るような形になります。

 

 M&Aの場合、従業員の雇用を守ることが目的の場合もありますし、借入金が残った状態で経営者が引退することが目的の場合もありますから、必ずしも株主にとって有利な結果になるとは限りません。また業績が好調で株価が高くなりすぎた場合に、後継者候補が株式の買取りができない場合などで、受け皿を探すようなケースでもM&Aがマッチする場合があります。M&Aについてはタイミングの問題もあり、時間がかかるケースもありますが、会社として売れる可能性があるのであれば、一つの出口対策として検討しておくことは有効です。

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