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2024年06月20日号 (第508)

売上計上のタイミングとインボイス

 みなさん、こんにちは。暑くなってきました。湿度も高く過ごしにくいですね。

 今回は、令和6年4月に更新されたインボイスQ&Aの中から、売上計上のタイミングとインボイスを交付できるタイミングについてご紹介していきます。

月の中途で適格請求書発行事業者となった場合の適格請求書等の交付方法

 令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間については、期の途中からインボイスの登録事業者となることができます。さらに、月の中途から登録事業者になることも可能です。それを踏まえて問77-2として、下記のQが追加されています。

 当社は、機械装置の貸付けを行っている免税事業者です。契約上、毎月末に使用料を受領し、領収書を発行しているところ、この度、月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けたのですが、どのように領収書(適格請求書)を交付すべきでしょうか。
 また、棚卸資産としての機械装置の販売やその保守点検といった役務提供も行っていますが、この場合の適格請求書の交付はどうなりますか。

 文字数はそれほどでもないですが、論点が詰め込まれています。①機械の貸付けの使用料、②機械の販売、③機械の保守点検という3種類の売上計上があり、月末に請求書を発行しているという前提です。請求書は月末ですが、月の中途、事例では3月15日に登録を受けている前提です。

資産の貸付けの使用料

 資産の貸付けの使用料については、当月分を当月受領か、翌月分を当月に受領するかで対応が変わり、下記のような結論となります。

資産の販売の場合

 資産の販売の場合、資産の販売の時期が登録前であればインボイスの交付はできず、販売の時期が登録日以後であればインボイスの交付が必要になります。請求書の発行時点で考えるのではなく、資産の販売の時期により判断することになります。

保守点検など役務の提供の場合

 役務の提供については、その契約に基づく役務の全提供を完了した日によって、インボイスの交付を判断することになります。インボイスの登録前から保守点検作業を始めており、保守点検作業が完了した日がインボイス登録後であれば、インボイスを発行することになります。この場合、日割り計算などは不要となります。一方で、インボイスの登録開始前に保守点検作業が完了している場合、インボイスの交付はできないことになります。これについても請求書の発行時点ではなく、役務の提供が完了した日付がいつかによって判断することになります。

 

 実務を考慮すると、インボイスの登録を急ぐケースがあるかもしれませんが、可能であれば月初めを登録開始日とするのが望ましいように思います。月の中途で、インボイスを交付できる場合とインボイスを交付できない場合を区分するのは、実務的には面倒です。

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