税務最新情報

2024年04月08日号 (第501)

定額減税パンフレット

 みなさん、こんにちは。東京都は桜の開花が例年より遅く、入学式シーズンに満開でした。寒暖の差が激しく、体調を崩されている人も多いようなので気を付けましょう。

 さて今回は、定額減税のお話です。先月あたりから、クライアントを訪問すると定額減税のパンフレットが届いたとのことで「どうしたら良いのですか」と、一番質問が多い部分です。

定額減税事務の概要

 会社目線で見た定額減税について抑えておくポイントは、それほど難しくはありません。

  ①6月1日時点の勤務者で、甲欄適用の居住者に適用します。

  ②基本的に減税の額は、本人3万円、同一生計配偶者と扶養親族一人につき3万円です。

 具体的には、同一生計配偶者ありで、扶養親族2名なら以下のような計算になります。

3万円(本人分)+3万円×3名(同一生計配偶者と扶養親族分)=12万円

 なお同一生計配偶者とは、控除対象者と生計を一にする配偶者のうち、合計所得金額が48万円以下の場合に該当します。

具体的な計算方法の検討

 税務署から送付されてきたパンフレットの最後のページに「各人別控除事績簿」という様式があります。具体的な計算過程を確認するのは、この事績簿に当てはめて考えてみるのがよいと思います。ちなみに、この表のPDF様式、あるいはエクセルについては、下記でダウンロード可能です。

https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/yoshiki.htm

 国税庁のエクセルを利用して実際に入力してみたものが下記です。①同一生計配偶者と扶養親族の数を入力すれば、②月次減税額は自動計算されます。③の控除前税額は、源泉税の税額表に当てはめて計算した源泉税の額です。この数字を入力すると④控除した金額、⑤控除しきれない金額が自動的に反映されます。その後7月の給料の計算の際に⑥を入力、8月の給与計算の際に⑨を入力していくという流れになります。

 表示の都合上9月までしか表示していませんが、賞与はないものとして12月まで同様の計算を繰り返していくと、12月の段階で69,530円の控除しきれない金額が残ります。その控除しきれない部分を年末調整の際に控除するのですが、上記事例で計算すると1月から5月までの源泉税の累計が7,210円×5か月で36,050円なので、結局控除しきれないことになります。

 ちなみに、社会保険料控除後で35万円だと額面で月額41万円前後ですから、年収換算で500万円程度と考えられます。控除しきれない人がそれなりの数に上ることが予想されます。

定額減税実務の実際

 具体的な計算方法の確認のためにエクセルシートを利用した計算例を紹介しましたが、給与計算ソフトを利用すれば減税額は自動で計算されるはずです。よって給与計算ソフトを利用している場合、実務的な負担はほぼありません。

 一方、手計算で給与計算を行っている場合は、全従業員について上記の表を作成して管理する必要があり、ある程度の人数については12月まで控除額の管理をすることが必要になると予想され、それなりの負担が生じるでしょう。

 

 今年の定額減税ですが、今回紹介した内容は会社側の事務です。それ以外に住民税の計算を行うすべての自治体、給与計算ソフトなどを販売している各ベンダー、今回送付されたパンフレットなどを配布している税務署など、各方面で多大なコストが発生します。今回の事例のケースでは、定額減税で控除しきれないので給付が行われることになりますが、給付の実行にも多大なコストが発生します。減税って難しいものですね。

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