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2024年03月21日号 (第499)

令和6年度税制改正 相続税・贈与税関係

 みなさん、こんにちは。所得税の確定申告の期限が過ぎてしまいました。申告期限に遅れてしまいそのままにしてしまうケースがあるようですが、期限を過ぎた場合でも確定申告自体は可能です。還付の場合はもちろんですが、納税になる場合も自主的に期限後でも申告することで、無申告加算税がかからなくなります。延滞税についても、少しの遅れなら大きな金額にならないケースが多いので、早目の対応が重要です。

 さて今回は、令和6年度税制改正大綱の中から、相続税と贈与税関係の内容をご紹介していきます。

事業承継税制の改正

 事業承継税制について、特例承継計画等の提出期限が令和6年3月末日から令和8年3月末日まで、2年間延長されます。なお、事業承継税制の特例贈与又は相続の適用期限は、令和9年の12月末とされており従来通りです。

 事業承継税制は、基本的に承継する株式に対する相続税額又は贈与税額の80%について納税猶予が受けられる制度です。現在は特例措置が設けられており、承継する株式に対する相続税又は贈与税の100%が、納税猶予される仕組みとなっています。この特例措置については、令和8年3月末までに特例承継計画の提出をして、令和9年12月末までに先代経営者から後継者へ株式の贈与、又は相続がされることが要件となります。相続の発生は正確な予測が立ちませんから、実際には贈与という形で行われることになります。

 会社の株式の評価額が高く、相続税の負担が重くなることが予測される場合、後継者が決まっているのであれば、事業承継税制の適用について検討すべきです。一方で、それほど評価額が高くない場合や、後継者が完全に決まっていない場合など、この制度の利用が適さないケースもあります。贈与の実行までを考えると、特例制度の利用ができる期限は限られているので、最終確認の意味を込めて、今一度、検討してみてはいかがでしょうか。

住宅取得資金にかかる贈与税の非課税制度の延長

 両親や祖父母などの直系尊属からの贈与により、住宅取得資金の贈与を受けた場合における贈与税の非課税措置について、令和8年12月まで3年間延長されます。また上乗せ措置の対象となる省エネ等住宅について、省エネ性能について要件の変更が行われます。

改正前改正後
・断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上・断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上

 なお、耐震性能の要件である耐震等級(構造筐体の倒壊防止)2以上、あるいは免震建築物であること、高齢者等配慮対策等級等が3以上など、省エネ性能部分以外については変更はありません。

 非課税限度額にも変更がなく、省エネ等住宅に該当すれば1,000万円まで、該当しない住宅の場合であれば500万円までとされています。

 この改正は、令和6年1月1日以後の贈与から適用されます。

 

 令和6年分から新築で住宅ローン減税の控除を受ける場合、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅に該当する必要があり、住宅ローン減税のハードルが高くなりました。上記の住宅取得資金の贈与などとうまく組み合わせて、なんとか住宅ローン減税を適用したいものです。

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