税務最新情報

2024年02月20日号 (第496)

令和6年度税制改正大綱 法人税③

 みなさん、こんにちは。最近、税務専門誌などで定額減税の話題が増えてきていますが、微妙に批判が多いです。減税ですから歓迎されそうなものですが、手続きについて問題視されているようです。理論的には、国会を通過する前なので軌道修正が可能なはずですが、現実的には難しいのでしょうか。

 さて今回は、令和6年度税制改正における法人税に関する残りの論点です。

イノベーションボックス税制の創設

 従来より日本では研究開発費税制として、研究開発の入り口の投資額に税制上の特典を与えていました。一方、イノベーションボックス課税は特許権譲渡等の取引による所得、つまり研究開発の結果である出口に対して税負担を軽減する制度です。同じような仕組みついて、フランス・イギリス・中国・インドなどの国々で導入されています。

 青色申告を提出する法人が、令和7年4月から令和14年3月までに開始する事業年度に、居住者又は内国法人に対する特定特許権の譲渡、又は他の者に対する特定特許権の貸付けを行った場合、下記の内、いずれか少ない金額の30%を損金算入できる制度です。

① 特許権譲渡等取引に係る所得金額に対する適格研究開発費割合
② 当期所得金額

 なお特定特許権とは、令和6年4月以後に取得または製作をした特許権、及び人工知能関連技術を活用したプログラムの著作権等をいいます。
 上記①の特許権譲渡等取引に係る所得金額に対する適格研究開発費割合については、特許権ごとに計算して合計した金額となります。

戦略分野国内生産促進税制の創設

 産業競争力強化法の改正を前提として、令和9年3月末までに、青色申告法人である認定事業適応事業者が、その事業適応計画に記載された設備の新設、又は増設に係る機械その他の減価償却資産を取得し、国内にある事業の用に供した時は、その認定日以後10年以内の各事業年度において税額控除が受けられる制度が創設されます。

 戦略分野のうち、特に生産段階でコストが高い事業の国内投資を促進することを目的としており、具体的には電気自動車、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料、半導体等を対象としています。税額控除額については、生産量、販売量に応じて算定される仕組みとなります。

法人が有する市場暗号資産の期末における評価

 法人が有する市場暗号資産に該当する暗号資産で、譲渡についての制限その他の条件が付されている暗号資産の期末における評価額は、①原価法か②時価法のうち、法人の選定した評価方法によることとされます。

 この改正は暗号資産が常に時価評価され課税の対象となるとした場合、ブロックチェーン技術を用いたサービスの普及や、これを活用した事業開発等のために暗号資産の継続的保有が必要な場合、キャッシュの伴わない未実現利益に課税することになるため、見直しが必要と考えられたものです。

記事提供
メールでのお問い合わせの際は、必ず住所、氏名、電話番号を明記してください。

過去の記事一覧

ページの先頭へ