税務最新情報

2024年02月01日号 (第494)

令和6年度税制改正大綱 法人税①

 みなさん、こんにちは。2月になりました。確定申告が必要な方は、早目に準備をしましょう。特にインボイス制度に合わせ、初めて消費税の申告をされる方は、余裕をもって進めるのが望ましいです。税務署に行くとすごく混んでいる、あるいは申告期限ぎりぎりだと、税理士が新規の対応はできないケースがあります。

 さて今回は、令和6年度税制改正大綱の法人税に関する内容について、細かな部分をいくつかご紹介していきます。

交際費等の損金不算入制度の延長と改正

 交際費の損金不算入制度については、令和9年3月31日までに開始する事業年度まで延長されます。

 損金不算入となる交際費から除外される飲食費等の金額が、1人当たり10,000円(現行は5,000円)以下の飲食費等に引き上げられます。この制度は、令和6年4月1日以後に支出する飲食費からの適用になります。

 制度の改正は、物価高を背景に非常に効果的だと思います。また、コロナ禍でダメージを受けた飲食店業界にとっては、非常に明るい話題と言えます。中小企業特例が利用できない会社は、社内規程の見直し、従業員への周知徹底など、10,000円以下の飲食費の枠を有効に利用できるように準備をしていきましょう。

 なお中小法人については、従来通り年間800万円までの交際費について、損金算入が可能です。この点については従来通りで変更はありません。

倒産防止共済の損金算入の制限

 独立行政法人中小企業基盤機構が行う中小企業倒産防止共済について、共済契約の解除があった後、共済契約を締結した場合、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する、その共済契約に係る掛け金については、損金算入できなくなります。令和6年10月以後に解除された共済契約から適用されます。

 倒産防止共済の損金算入については、独利行政法人が行ってきた共済制度ですし事実上、積立金に近い掛け金ですが、租税特別措置法で敢えて損金算入を認めている取扱いでした。クリーンな節税の手法と言うイメージだったのですが、規制が入ってしまいました。改正が行われた背景には、この取り扱いの濫用が見られたことが問題視されたようです。

 改正があったとしても、解除して即加入など、極端な利用の仕方をしないのであれば、特段影響ありません。取引先の倒産による貸倒れなどの影響から起こる連鎖倒産の防止を趣旨とする共済制度ですから、本来の目的を果たすには非常に重要な制度です。また、共済掛金が一定期間経過後の解除で丸々戻ってくるという意味では、課税の繰延べとよばれる節税効果は残りますから、大部分の企業には、従来通りお勧めできる制度と考えられます。

外形標準課税

 外形標準課税の対象法人は資本金又は出資金1億円超とする基準が、従来通り維持されることになりました。ただし当分の間、その事業年度の前事業年度に外形標準課税の対象法人だった場合、その事業年度に資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には、外形標準課税の対象とされることになります。

 なお施行日以後、最初に開始する事業年度については、公布日を含む事業年度の前事業年度に外形標準課税の対象法人で、その施行日以後、最初に開始する事業年度に資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合は、外形標準課税の対象となりますので注意が必要です。
 駆け込みで減資を検討している会社があるとの報道が見受けられます。

記事提供
メールでのお問い合わせの際は、必ず住所、氏名、電話番号を明記してください。

過去の記事一覧

ページの先頭へ