税務最新情報

2023年12月20日号 (第490)

令和6年度税制改正大綱ダイジェスト

 12月14日に税制改正大綱が公表されました。具体的な各論については来年以降ご紹介していきますが、今回はダイジェスト版として目立つ部分についてご紹介していきます。

定額減税(所得税・住民税)

 定額減税が行われます。所得税で3万円、住民税で1万円、合計4万円の定額減税です。所得税は6月分の源泉徴収から控除し、控除しきれない場合は翌月に繰り越されます。住民税については、6月分の特別徴収をなしにするそうです。実務的には、年末調整で行ってくれる方が事務的な負担は軽いのですが、経済効果を期待して6月に実施なのでしょう。それなりに所得が高い人は、6月に一気に減税分の手取り額が増えるので、しばらくぶりにインパクトのある改正です。

扶養控除の縮小(所得税・住民税)

 児童手当を高校生まで延長する代わりに、高校生に対する扶養控除が38万円から25万円に減額します。所得の低い層には、所得控除より給付の方が効果的なのは確かですが、少子化対策を徹底するなら、もう少し踏み込んでもらいたいところです。

賃上げ税制(法人税・所得税)

 大企業向けは簡単に説明することが不可能なくらい複雑化しています。中小企業向けは控除限度超過額を5年間繰り越せる点が大きな改正です。

交際費から除外される飲食費が一人当たり1万円に引き上げ(法人税)

 従来、一人当たり5千円までの飲食費について、交際費から除外される取扱いがありましたが、一人当たり1万円までの飲食費について、交際費から除外されることになります。経済効果まで考えると、それなりに影響がある改正ではないかと思います。

中小企業倒産防止共済の制限(法人税・所得税)

 中小企業倒産防止共済の共済契約の解除があった後、共済契約を締結した場合、その解除の日から2年間は損金算入できなくなります。合法的な節税の典型だったのですが、少し使いにくくなります。

プラットフォーム課税の導入(消費税)

 海外のアプリ、appleやGoogleなどのプラットフォームを利用して行われる電気通信利用役務の提供について、プラットフォーム事業者が消費税を納税する仕組みとなります。大きな改正ですが、普通の事業者への直接的な影響はアプリなどの値上げという形となりそうです。

事業承継税制の特例措置(相続税・贈与税)

 特例承継計画の提出期限が2年間延長されることになりました。ただし計画の提出期限は伸びましたが、事業承継税制の適用期限は従来通り令和9年12月までなので、贈与税で特例措置を利用する場合、令和6年12月までに役員になっておく必要があります。

 

 注目されているインボイス制度に関しては、自販機を利用した場合、帳簿に住所の記載が必要とされていたものが不要になる改正と、登録事業者以外の1社から10億円超の課税仕入れを行った場合、8割控除の経過措置が使えなくなる改正があります。それ以外は全くと言っていいほど触れられていません。

 

 令和6年の税制改正ですが、ここ数年に比べると動きがあるかなという感想です。

 

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