税務最新情報

2023年12月11日号 (第489)

税務業界の繁忙期

 みなさん、こんにちは。今年も残すところ20日ほどです。今年はクライアントの会社で、忘年会復活の兆しがあります。何年かぶりに師走の活気が戻りつつあります。かといって、コロナの際に忘年会を中止し、そのまま会社の行事として行わない会社もありますから、元通りには至っていない状況です。

 さて今回は、税務業界の繁忙期ということで、3月までの動きをご紹介していきます。

税制改正大綱の公表

 もしかしたらこの記事がアップされるころには、令和6年度税制改正大綱が公表されているかもしれません。例年12月の中旬に、来年度の税制改正大綱が公表されます。大綱に基づき改正税法の立法作業が行われ、来年の3月に国会で承認されて法律が出来上がることになります。

 大綱段階で税制改正の大筋は予測できますので、大綱の公表後、ネットや雑誌、書籍などいたるところで令和6年度税制改正の解説がスタートします。ただし細部については、法案が公表され、その後施行令などが公表されることで明らかになっていくため、大綱が公表された直後の解説と、施行令などが明らかになった段階での解説などで深度に違いが生じます。また大部分は大綱で書かれている通りに立法されますが、稀に大綱と立法された結果で変化が生じることもあります。立法段階で問題点が浮上し、微妙に修正されてしまうケースもあるのかもしれません。

 いずれにしても、税務の世界では最もホットな季節が始まろうとしています。

年末調整、給与支払報告書の提出、法定調書の提出

 例年12月の給与計算が終わった後、年末調整の計算を行います。12月給与の支給日に調整を行う場合、給与計算が終わり支給日までの間に全従業員分の年末調整を行う必要があるので、タイトなスケジュールとなります。1月分の給与で調整するのであれば、1月分の給与の支給日までに調整すればよいので、比較的余裕のあるスケジュールとなります。また納期の特例を利用している場合、1月20日までに源泉税の納付が必要となるので気を付けましょう。

 年末調整の計算が終わると、従業員の住所地の自治体に給与支払報告書の送付が必要となります。従業員数が多い場合、送付先も多くなり手間のかかる仕事です。この業務については、年末調整ソフトを利用して電子申告することで、大きく手間を減らすことができます。この作業は1月末が申告期限となっています。

 一定の金額以上の源泉徴収票、家賃の支払いや報酬の支払いについて、支払調書と支払調書の合計表を1月末までに所轄税務署に提出する必要があります。これらは家賃や報酬について、例年と同じ支払先が継続することが多く、専用ソフトの利用が合理的です。法定調書の一部である源泉徴収票は年末調整の結果なので、年末調整のソフトと一体となっているケースが一般的です。

償却資産税の申告

 年末調整や法定調書とは全く次元が異なる業務ですが、償却資産税の申告期限が1月末となっています。この申告の難しい点は、12月に取得したものを1月末までに申告しなければならないという点です。

 納税者自らが申告する前提なら、12月に取得した償却資産について1月末までに申告は可能ですが、税理士に依頼している場合、翌月に必ず処理が行われているとは限りませんから、非現実的な申告期限と思います。また仮に15万円で取得した資産について、少額減価償却資産として処理するか、一括償却資産として処理するかで、償却資産の申告が必要か否か変わってきます。一括償却資産であれば償却資産の申告に含めなくてよいことになりますが、少額減価償却資産として処理する場合は償却資産の対象となります。このような判断を短期間で行うのも、納税者にとっては酷な話です。

 実務的には、現存する資料で1月末までに申告し、その後、訂正が必要であれば修正申告するという対応をしています。実際には資産の増減がないケースがほとんどですし、個人の確定申告や法人の決算業務の際に減価償却の計算を行いますから、現実的には決算の段階で見直しするという流れになってしまいます。

 

 法人のケースなら1月末でいったん一区切りですが、個人事業者であれば、所得税の確定申告期限が3月15日、消費税の申告期限が3月末ということで、しばらく税務に関しての仕事がバタバタと立て込む時期です。

 そして経理担当者などを新しく採用した場合、丸ごと一つの業務が抜け落ちるなどの事故も起こりやすいので気を付けましょう。

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