税務最新情報
2023年11月10日号 (第486)
人気ゲームで約30億円の申告漏れ
みなさん、こんにちは。12月の税制改正大綱の公表に向けて、税制改正の準備が行われている時期です。景気対策を踏まえた所得税減税の話など、細かな情報が出始めています。
さて今回は、30億円の申告漏れという大きなニュースがあったので、その話題についてご紹介していきます。
人気ゲーム「フォートナイト」の課金についての申告漏れ
新聞報道なので詳細不明な部分がありますが、海外のゲーム会社が配信している「フォートナイト」というゲームの関連会社に30億円の申告漏れがあり、東京国税局が加算税を含め35億円を追徴したとのニュースが流れました。
東京国税局が外国の会社から35億円を追徴したという点について、どのような仕組みだったのでしょうか。
平成27年度の消費税改正
今回の申告漏れは、平成27年度税制改正による消費税法の改正に伴うものです。「国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し等」と呼ばれる改正で、(1)電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準の見直し、(2)リバースチャージ方式の導入、(3)国外事業者が行う消費者向け電気通信利用役務の提供に係る仕入税額控除制限、(4)登録国外事業者制度の創設などを内容とする改正です。
そして今回の申告漏れは、(1)の内外判定の見直しに伴うものです。内外判定というのは、「取引」を国内の取引と捉えるか、海外の取引と捉えるかを判定するルールです。この部分について、下記のような改正が行われました。消費税は、国内の取引に課税されますが、国外の取引には課税されない仕組みとなっています。
今回の申告漏れは上記の④の部分で、国外のゲーム会社が日本国内の消費者に対し、フォートナイトのゲーム内で課金したということのようです。平成27年度改正前は、国外の会社がインターネット等を通じて日本国内へサービスの提供をしても、国外取引として日本の消費税は無関係でした。ところが平成27年改正により国内取引となり、日本の消費税が課税されるようになりました。報道によると、3年分で30億円の課税漏れとのことですから、年間10億円ということで、スケールの大きな話となっています。
国外の会社に課税できるのか?
平成27年度改正の際、日本の国税局が実際に国外の会社に対して追徴できるのかという点が疑問でした。
インターネットを通じた課金について、ゲームであれば任天堂、ソニー、アップル、Google、マイクロソフトなどのポータルサイトを利用して行うケースが多いので、日本の課税当局が金額を把握することは比較的容易と思われます。
次に、実際に追徴できるか否かという問題がありました。しかし今回の事例で、海外の会社から実際に35億円の追徴課税を行えたことは、その波及効果を含めて大きな影響力があるように思えます。
海外のゲーム会社の消費税申告状況については、実際のところ不明な部分が多いです。もしかしたら今回の件は氷山の一角で、このような事案が相次ぐのかもしれません。
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