税務最新情報

2023年06月20日号 (第472)

業務用ソフトのクラウド化とリスク

 みなさん、こんにちは。6月なのでやむを得ないのですが、天候が不順な日が多いですね。そして蒸し暑い日が増えてきました。移動が多い職種の人にとっては、苦難の季節がやってきます。

 さて今回は、業務用ソフトのクラウド化におけるリスクについてご紹介していきます。

社労士向けの業務用クラウドシステムがランサムウェアで攻撃

 6月の前半、社労士業界で最もシェアが高いとされる業務用クラウドシステムが、ランサムウェアの被害に遭い、しばらく利用できない状態になっているようです。6月5日に接続障害が発生したとプレス発表があり、この記事を執筆している段階では、完全に復旧はしていないようです。発表によると、バックアップデータがあり、新たなサーバーにシステムを構築しているとのことですが、データのボリュームの関係から、再構築に時間がかかっているとしています。

 社労士業務だと、通常の給与計算、算定基礎届、労働保険の計算などで利用するでしょうから、税務の業界で言えば確定申告の時期にシステム障害が発生しているような状況です。

トラブル発生時のクラウド化への期待

 税務の業界でもクラウドの会計システム、クラウドの税務システムなど、クラウド化が進んでいます。実際、私のクライアントでも、会計業務のクラウドサービスを利用されているケースがあります。

 個人的には各自がデータのバックアップを行うより、クラウドサービスのように専門の業者がプロとして対策を行い、細心の注意でバックアップを行うというスタイルの方が優れているはずです。仮にトラブルが生じたとしても、自前のバックアップを復元するよりスムーズに復元がなされ、データの消失があったとしても、最小限に留まるなどの想定をしていました。しかし今回の事例では、スムーズにバックアップが復元されるというレベルではなく、数日間においてシステムがまったく利用できない状態にいたっているようです。

 過去に私の事務所でハードディスクのトラブルが生じ、サーバーの購入、ソフトのインストール、データの復元までに丸一日を要したことがありました。

 今回の事例では、流れに任せてクラウド化するだけではなく、サイバー攻撃を含んだいろいろな想定を踏まえたうえでの対策が必要と再認識しました。

バックアップの重要性

 今回のトラブルは、バックアップデータが存在していて、復元作業をしている最中とのことですが、バックアップの重要さをひしひしと感じます。東日本大震災の記憶から、社内でのデータのバックアップと同時に、クラウドでのデータ保存も意識してきました。

 さらに今回のことを教訓とするならば、システムについてもバックアップが必要ということかもしれません。大手のクラウドシステムだと、オフラインで運用できる仕組みが構築されているとは思いますが、政府のDX化も含め、いろいろな意味でシステムの利用方法について過渡期と考えられます。ネットが繋がらなくなった場合、大規模な停電が起こった場合など、あらゆる想定が必要と改めて考えさせられました。

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