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2023年05月01日号 (第467)

令和5年度税制改正 中小企業者等の特例

 みなさん、こんにちは。ゴールデンウイークです。コロナ前の状況には戻りきらないかもしれませんが、マスクをする人が減り旅行する人が増えるなど、景気の回復の気配が感じられますね。

 さて、今日は令和5年度税制改正における、中小企業者等の特例についてご紹介します。

中小企業者等の特例とは

 「中小法人」とは、事業年度末に資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の法人、あるいは資本若しくは出資を有しない法人のことをいいます。資本若しくは出資を有しない法人として一般的なのは、一般社団法人やNPO法人などです。また、資本金若しくは出資金の額が1億円以下の法人でも、相互会社、大法人や相互会社の子会社となる法人は、中小法人に該当しないことになります。

 ちなみに、「中小法人」とは別に「中小企業者」という概念があります。資本金または出資金の額が1億円以下で、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいいます。この場合も、大規模法人(中小企業者に該当しない法人)の子会社等は中小企業者に該当しないことになります。

 さらに中小企業者に加え、常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主、協同組合等を含めて「中小企業者等」といいます。

 条文の規定で「中小法人」、「中小企業者」、「中小企業者等」それぞれ適用対象が変わるので気を付ける必要があります。

中小企業者等に対する軽減税率の延長

 クライアントから「法人税率は何パーセントですか」と聞かれる時がありますが、意外と回答に困ってしまうのです。法人税法の条文では23.2%と規定したうえで、中小法人で年間800万円以下の部分については19%としています。さらに租税特別措置法で中小法人の800万円以下の部分については、19%ではなく15%にすると規定しているのです。税法条文にはよくあるのですが、法人税法で定めた内容が租税特別措置法で置き換えられているのです。

 そしてこの取り扱いは、令和5年3月31日までに開始する事業年度までとされていたものが、令和5年度税制改正で、令和7年3月31日までに開始する事業年度までと延長されることになりました。

中小企業投資促進税制の延長等

 中小企業者等が設備投資を行った際に、「中小企業投資促進税制」、「中小企業経営強化税制」、「中小企業防災・減災投資促進税制」という投資促進税制があります。令和5年度税制改正で、これらの取り扱いについても2年間延長されることになりました。

 中小企業経営強化税制は即時償却(100%)、中小企業投資促進税制は30%の特別償却、中小企業防災・減災投資促進税制は取得時期によって18%、又は16%の特別償却が利用できる制度です。また中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制は、特別償却に替えて税額控除を利用することが可能となっています。

 なお中小企業投資促進税制から、コインランドリー業の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものが除外されました。中小企業経営強化税制では、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他のものに委託するものが除外されました。いずれも節税商品として販売されていたようなものですが、本来事業とは別に節税のためだけにコインランドリー業を始めるケースが非常に多かったことから対象資産から除外されたのであり、元々コインランドリー業を主要な事業としている場合などは適用可能です。

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