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2023年01月20日号 (第457)
免税事業者がインボイス登録を行う場合の特例(20%特例)
みなさん、こんにちは。今回は免税事業者が、敢えてインボイス登録を行う場合の特例についてご紹介します。
売上に対する消費税の20%を納付すればよいという特例
令和5年10月から令和8年9月までに、免税事業者が敢えてインボイス登録した場合、その課税期間における消費税は、売上に対する消費税の20%として計算できる制度です。
ただしこの制度は、課税期間の特例を受ける課税期間と、課税事業者選択届出書によって課税事業者になっている場合は適用されません。
この制度を適用している事業者が、翌期間から簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を提出した場合には、その提出した課税期間から簡易課税制度の適用が認められます。この制度は80%の仕入税額控除を認める制度です。卸売業などは簡易課税を利用することで、90%の仕入税額控除を受けることができるので、有利な制度へスライドできる仕組みになっています。
具体的な計算例
具体的な計算方法ですが、税込みの売上高が990万円であれば、10/110を乗じて90万円が消費税となります。その90万円に20%を乗じた18万円を消費税として申告納付することになります。とてもシンプルな仕組みです。
個人的には、この仕組みは経過措置ではなく、恒久化すべき制度だと思います。免税事業者の場合、税理士に依頼せず自分自身で確定申告をしているケースが多く、自分で所得税の申告書や消費税の申告書を作成する人向けに、シンプルな計算の制度を存置させることは、非常に有効だと思います。免税事業者の売上規模の場合は、消費税の負担も重いですが、税理士など専門家へのコストも重いのが現実です。
3年後にどうなるのか?
本制度は計算もシンプルですし、消費税相当の値下げ要求への対応などが不要になりますから、良い制度だと思います。
税負担としては、売上高に応じて下記通りとなります。
売上990万円 消費税18万円 売上770万円 消費税14万円 売上550万円 消費税10万円 売上330万円 消費税6万円 |
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仮に550万円の売上規模の事業者であれば、消費税50万円の部分に対し値下げ要求があるかもしれませんが、「10万円のコスト負担で、値下げ要求の心配がなくなる」という意味で、インボイス登録の動機づけになりやすいです。
ただし、重要なのは経過措置であり、3年後にどうなるかという問題です。例えば、サービス業であれば、経過措置終了後に簡易課税を使うと、下記の税負担になります。
売上990万円 消費税45万円 売上770万円 消費税35万円 売上550万円 消費税25万円 売上330万円 消費税15万円 |
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経過措置適用時と比べると、倍以上の負担になってしまいます。そこで免税事業者に戻ろうとする場合、結局、その段階で取引先と消費税相当分の対価についての交渉が必要となります。
今回の改正は非常に良い制度ですが、あくまでも経過措置であり、期限が切れた後はどうするかまで検討した上で対応をすることが必要です。
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