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2022年10月20日号 (第448)
外形標準課税の改正の可能性
みなさん、こんにちは。例年12月に税制改正大綱が公表されるため、この時期から税制改正の話題が出てきています。10月7日に日経新聞の記事で、外形標準課税について改正の検討をしている旨の記事がありました。今回は、その記事から読み取れる改正の方向性についてご紹介していきます。
資本金以外の基準を検討
日経新聞の記事によれば、地方財政審議会が法人事業税の外形標準課税について、資本金以外の課税基準を導入する検討に入ったとのことです。
現在、資本金が1億円を超えると外形標準課税が適用される仕組みになっていますので、業績の悪化した企業が資本金を1億円以下に減資して、課税を逃れようとする状況証拠が相当数あることが改正意見の背景としてあります。
新たな基準としては、「資本金と資本準備金の合算額」、「純資産」、「従業員数」などが検討されているそうです。
新たな基準にした場合の影響
資本金と資本準備金の合算額を判断基準とする場合は、スムーズに導入でき、かつ現在のルールと親和性があるので、着地点としては最も可能性が高いような気がします。
純資産を基準とした場合は、金額をいくらに設定するかにもよりますが、相当数の企業が適用になるかもしれません。儲かっている会社の場合は、所得を基準に課税されるより外形標準で課税されるほうが税負担の軽減になる為、税収効果を考えると疑問が残ります。もっとも、現在は赤字が継続しているけれど、過去の儲けを内部留保している企業をターゲットにしているのなら、効果的かもしれません。ただ、内部留保は過去に法人税が課税されている部分なので、外形標準課税という名の内部留保課税というイメージで、少し邪道な仕組みのように思います。
従業員数を判断基準とするのは、応益負担の考え方からは正しいと感じます。一方で雇用を促進する趣旨に反し、むしろ人減らしや外注化などの流れにつながり、社会的な影響としてはマイナスではないでしょうか。
外形標準課税の趣旨と実務的雑感
外形標準課税は、応益課税としての性格を明確化して、赤字企業に対する課税の適正化を趣旨としており、端的に言えば赤字の企業でも課税できる仕組みです。
実務をしていると、儲かっている企業の外形標準課税は、全くと言っていいほど気になりません。計算の方法が変わるだけという感じです。ただし、付加価値割の計算では給与や地代家賃の集計を行う必要があり、その含める範囲などについてのミスは起こりやすくなります。
一方で赤字のベンチャー企業にとっては、とても負担の重い課税の仕組みです。赤字のベンチャー企業は、事業を継続するために増資を繰り返す傾向があります。例えば、2億円の赤字が生じれば2億円の資金が不足するので、2億円の増資が必要となります。仮に資本金等の額が3億円なら、資本割が150万円ほどかかる仕組みなので、過酷な側面があります。
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