税務最新情報
2022年02月10日号 (第423)
令和4年度税制改正 その他
みなさん、こんにちは、コロナの感染者が増加し続け、病床使用率も都内は50%を超えたと報道されています。執筆時点では、緊急事態宣言にはならない雲行きです。昨年、一昨年は確定申告の申告期限が延長されたのですが、今年はそのような情報がありません。税務署の相談会場の混雑具合など考えると、このままでいいのかなという不安があります。
今回は、令和4年度税制改正の最後の回で、その他の項目です。やはり、今年の改正は、ボリュームが少なかったです。コロナ禍で、身動きがとれないのでしょうね。
適格請求書発行事業者登録について
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、その登録日から適格請求書発行事業者となることができるようになります。従来は、令和5年10月1日の属する課税期間を過ぎてしまうと、課税事業者選択をした翌事業年度からしか適格請求書発行事業者になれませんでした。
インボイス制度が始まってから、適格請求書発行事業者の登録をしていないことで、取引停止になるなどの事態が発生する可能性があります。あるいは、入札の条件として、適格請求書発行事業者以外は、入札金額に消費税を上乗せできないなどの措置が取られるかもしれません。最初は、本来免税事業者となれるのに敢えて納税義務者を選択するなどありえないと思っていたところ、事業上の必要から登録事業者になりたいというニーズは多くあると思います。
また、社内の連絡の不備や経営者の病気などで、登録事業者になる手続きを失念してしまう可能性があります。そのような場合でも、気づいて登録手続きを行えば、タイムリーに登録事業者になれるという救済的な側面も期待できます。
財産債務調書制度の見直し
財産債務調書の提出範囲が広がりました。所得がない人でも財産の価額が10億円を超える人が従来の提出義務者に加えられることになります。これは、当然の改正と思います。相続税の納税漏れを防止する趣旨とすれば所得よりも、財産の金額を注目すべきだからです。ただ、数十年前の相続で遺産が10億円以上あるとか、過去の所得で財産の時価が10億円は超えるけれど、今は所得が年金しかないというケースでは確定申告に馴染みがありませんし、時価の金額をどうやって把握するのか気になります。まして、悪意がある場合は、隠したいのでしょうから表に出てこないのではとの疑問が残ります。
また、提出期限が3月15日から6月末に延長されます。令和5年分の財産債務調書から適用されます。こちらは、実務的にはありがたい改正です。財産債務調書を提出する人はそれほど多くありませんが、提出が必要な人は資産の項目も多いですし、確定申告と同じ期限に提出するのは非常に負担が重かったからです。
電子取引の電磁的記録の保存への宥恕措置
電子取引の取引情報の電磁的記録の保存制度について、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行う電子取引について、保存要件に従って保存することができなかったとしても、電子取引の記録について出力書面で保存することで運用上は認められることになります。
令和4年1月1日から施行された電子帳簿保存法の電子取引についての保存要件については、実務上対応が難しいとの意見が多かったことへの対応です。国税庁Q&Aで、当初は青色申告が取り消されるかもしれないとの記載で混乱が生じ、その後Q&Aの改訂で総合勘案して判断され直ちに青色申告が取り消されるわけではないとされ、直後に税制改正大綱で、電子取引の保存については2年間猶予する改正と大きな話題になった部分です。
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