税務最新情報
2022年02月01日号 (第422)
令和4年度税制改正 資産税関係
みなさん、こんにちは、都内はまたもや「まん延防止重点措置」となってしまいました。特定の業種にとっては、苦難の連続です。
さて、今回は、令和4年度税制改正の、資産税関係の改正です。
暦年贈与の非課税枠については現状維持
令和3年度の税制改正大綱で、相続税と贈与税の一体化というような方向性が示され、令和4年度の税制改正大綱が公表される直前には、暦年贈与の非課税枠(110万円)が利用できなくなるなどの報道があり、非常に注目を集めていました。
結果的には、令和4年度税制改正大綱では下記のようなコメントは付けつつも、現状の暦年贈与の非課税枠はそのまま据え置きで、変更なしという結果になりました。
今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める |
住宅取得資金の贈与税の非課税制度
直系尊属からの住宅取得資金の贈与税に対する非課税制度を、2年間延長して令和5年12月31日まで取得された場合となります。取得する住宅の築年数要件は廃止し、受贈者の年齢要件は18歳以上に引き下げられます。非課税枠については、下記の通り500万円ずつ縮小されます。
耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 | 1,000万円 |
上記以外の住宅用家屋 | 500万円 |
受贈者の年齢の引き下げは、民法の成年年齢を18歳に引き下げることの影響を受けており、令和4年の4月1日時点で18歳以上20歳未満の方が成年に達する扱いになることに伴うものです。
非課税枠について、500万円引き下げられましたが、上に書いた相続税と贈与税の一体化という枠組みからは、将来的にはさらに縮小されていく可能性もあります。
事業承継税制の特例計画の提出期限の延長
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度について、特例承継計画の提出期限を1年延長して、令和6年3月31日までとなります。
なお、特例制度の適用期限は変更がなく、令和9年12月31日までのままです。
猶予額が10割となる特例納税猶予制度は、一定規模の相続税額が想定される場合には、非常にメリットが大きい制度です。一方で、制度の利用を始めると後戻りできなくなる部分もあるので、じっくりと利用するか否かの検討が必要な制度でした。検討をしている中でコロナ禍に突入して、話が宙に浮いていたケースも多々あると思われます。特例計画の提出期限延長に伴い再検討するチャンスかもしれません。
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