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2022年01月04日号 (第419)

令和4年度税制改正 法人税の改正①

 新年となりました。過去2年コロナ禍で大変でした。今年こそは、みなさんにとって良い一年になるとよいですね。

 さて、今回からしばらくは、令和4年度税制改正の内容をご紹介していきます。まずは、法人税関係からです。

所得拡大税制の改正

 所得拡大税制は、別表も中小法人向けと大法人向けが異なるものになっており、趣旨は同じでも異なる制度になっています。いずれも微妙に改正になっています。

①大法人向け所得拡大税制

 比較する対象が、新規雇用者給与の比較から継続雇用者給与の比較へと変更になっています。変更になったというより元の制度に戻しました。昨年の改正では、コロナ禍で残業どころか雇用調整を行っていた時期に継続雇用者への給与の比較では適用可能な法人が少なく、コロナ禍で職を失った人への対策で、新規雇用を促す意味でも新規雇用者の給与での比較を行う制度となっていました。今回の改正で、従来の計算方法に戻りました。

 ちなみに、令和3年4月から令和4年3月までに開始する事業年度は、昨年の新規雇用者で比較の制度、令和4年4月以降開始する事業年度が、今年の改正という形で、実務は令和3年改正分がこれから始まるようなイメージとなります。

要件:継続雇用者給与等支給額が、前年に比べて3%以上増加している場合は、雇用者給与等支給増加額の15%を税額控除できます。

上乗せ要件1:増加率が4%以上の場合は、控除率が10%加算されます。

上乗せ要件2:教育訓練費の額が20%以上増加の場合は、控除率が5%加算されます。

 最高で、雇用者給与等支給増加額の30%まで税額控除を受けられます。ただし、法人税額の20%までを上限とします。

②中小法人向け所得拡大税制

 中小法人向けの所得拡大税制は、適用要件など基本的な仕組みは、昨年同様ですが、上乗せの場合の最大控除率が25%から40%へ大きく引き上げられています。

要件:雇用者給与等支給額が、前年に比べて1.5%以上増加している場合は、雇用者給与等支給増加額の15%を税額控除できます。

上乗せ要件1:雇用者給与等支給額の増加率が2.5%以上の場合は、控除率が15%加算されます。

上乗せ要件2:教育訓練費の増加率が10%以上の場合は、控除率が10%加算されます。

 最高で、雇用者給与等支給額の40%まで税額控除を受けられます。ただし、法人税額の20%までを上限とします。

少額の減価償却資産を利用した節税策の封じ込め

 コインランドリーなどを利用した節税のFAXがお客さんへ、よく届いていました。税法上は、①10万円未満の少額の減価償却資産、②中小企業向けの少額減価償却資産として30万円未満のものについて、全額損金として計上できる制度があります。また、③一括償却資産として、20万円までの減価償却資産について、3年間で均等償却できる制度があり、そのような制度を利用した節税スキームとして広告がなされていました。

 令和4年度税制改正では、上記の3つの制度について、資産の貸付けを主要な事業としていない事業者は、貸付け用の資産には利用できないこととしました。

 大綱からは、具体的な適用開始時期が読み取れませんが、令和4年4月以降取得になるものとなる可能性が高そうです。

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