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2021年10月11日号 (第411)

会社をたたむタイミング

 みなさん、こんにちは、緊急事態宣言が開けた東京、活気で満ち溢れています。居酒屋の前を通ると歓声が聞こえてくるくらいです。また、コロナが広がるのではないかと多少心配したりもしますが、いかに緊急事態宣言が経済をダメにしていたかが伝わってきます。

 さて、今回は会社をたたむタイミングというお話をします。

高齢のお客さん

 先月、申告期限のお客さんが資料を送ってきてくれませんでした。高齢の代表者の方で、何度か電話したのですが、もうすぐもうすぐと言われ、いまだに資料が来ていません。資料が届き次第、期限後申告という流れにしたいのですが、本当に資料は来るのかなと心配しています。

 税理士をやっていると、高齢のお客さんが大勢いらっしゃいます。商売としては儲からないけれど、大きな赤字もでなければ、健康のために続けてくださいという話をするのが定番です。一方で、車の運転をされるとか、お医者さんの場合は、万が一の場合を考えて、引退をやんわりと促したりすることもあります。

会社をたたむタイミング

 経営者が70代前後になってくると、いつまで会社を続けたら良いのでしょうかと尋ねられることがあります。

 上にも書きましたが、儲からなくても大きな赤字にならなければ、続けたほうが良いのかなと個人的には思います。経営を長くされている方が、ある日突然することがなくなることを想定すると、かえって精神的に良くないのではないかとか、ある程度、頭と体を使っている方が健康のために良いのではと考えてしまいます。

 また、健康の問題だけでなく、老後で気になるのは、貯蓄を減らしていくことへの不安感です。例えば、大きく儲からなくても、貯蓄を取り崩さないで生活が続けられるなら、その状態を維持することが経済的に安定します。

 結局、年齢を気にせず健康的な側面と経済的な側面から、平穏に仕事を続けられている間は仕事を続けるのが良いのかなと感じます。

 ただ、上にも書いたように車の運転が必要な仕事、お医者さんなどは、高齢になって継続することでリスクも生じてしまいます。特に、車の運転については、都心から外れると必須になってしまいがちです。大きな事故はおきなくても、車庫にぶつけたりなど、小さな物損は起こりがちです。万が一大きな事故になってしまったときに、人生を不意にするような可能性もないわけではないので、リスクを取らないという意味では避けてほしいところです。

申告期限に遅れたら

 税理士からすると、高齢の方で、資料がなかなか届かないというのは、個人の所得税の場合でも法人の場合でも、非常にありがちです。申告期限を過ぎて申告するというのは、法律を守れていないわけですから、望ましいことでないのは確かなのですが、そこは考えようです。

 ずっと申告しないのは問題ですが、それほど儲かっていない場合は、期限後の申告になったとしても、無申告加算税や、延滞税の額はたかが知れています。最近は消費税があるので、税額ゼロというケースは少ないですが、赤字ならそもそも法人税はかからないので、消費税分についての加算税の負担となるケースが多いです。また、続けて期限後申告となる場合もありますが、赤字が継続している場合などは青色申告を取り消されても現実的なデメリットもありません。

 年齢を重ねても、仕事ができることは幸せなことです。多少のペナルティがあったとしても、仕事を続けられる方がメリットが大きいと言えるでしょう。大きな事故などのリスクや、大きな経済的な損失がないなら、続けられる間は会社は続けたいものです。

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