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2021年05月10日号 (第396)

時短協力金の益金の計上時期

 みなさん、こんにちはゴールデンウイークが終わってしまいました。都内は、緊急事態宣言もあり、昨年に続きゴールデンウイークの華やかさは見られませんでした。私の事務所は新宿区にありますが、酒類の提供の終日禁止ということで、時短営業していた居酒屋などは、一斉に休業という雰囲気です。確かに、焼き鳥を食べながらノンアルコールだと、お客さんは入らないかもしれません。

 今回は、時短営業の協力金の収益の計上のタイミングについてご紹介します。

時短営業の協力金の申請と入金

 東京都の飲食店等に対する営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金は、令和3年1月8日から令和3年2月7日までの時短営業に関しては、申請の受付は令和3年2月22日から令和3年3月25日までで終了しています。また、令和3年2月8日から令和3年3月7日までの時短営業に関しては、申請の受付は令和3年3月26日から令和4年4月26日までで終了しています。さらに、令和3年3月8日から令和3年3月31日分の時短営業に関しては、令和3年4月30日から令和3年5月31日となっています。

 3月決算法人が多くありますが、3月決算法人の場合で、3月分までの時短要請に応じた協力金の申請が、5月末までですから、時短要請に応じた期間と申請した期間、さらには入金があった期間とで、期をまたぐことが確実です。

 3月の時短についての協力金、3月分の益金なのか、申請した期間の益金なのか、あるいは入金があったときの益金なのでしょうか。

◆通達上の取扱い

 上記の協力金については、法人税の基本通達では下記のように規定しています。

 2-1-42(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)

 法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するために雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。(昭59直法2-3、昭63直法2-14改正)

 (注)法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

 通達の本文では、事実のあった事業年度として、金額の確定がなくても益金に算入するように規定しており、一方で、注意書きでは支給の決定があった日に益金に算入するとしています。

 さて、時短要請の協力金は本文の適用なのでしょうか、あるいは注意書きの適用なのでしょうか。結論からいえば、時短要請の協力金については、注意書きの「その支給決定があった日」に益金に計上することになります。申請した日でもなく、入金した日でもなく、交付決定通知書の日付ということになります。

 ちなみに雇用調整助成金は、通常であれば休業計画届けの提出が必要で、そのような場合には、本文の適用で休業の事実があったタイミングで益金計上となります。ところが、休業計画届けが不要となる特例措置の下では、事後的に助成金について決定されることから、決定通知書の日付で益金計上が原則となります。

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