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2021年04月20日号 (第394)

インボイス方式(適格請求書保存方式)に向けての心構え

 みなさん、こんにちは、緊急事態宣言は解除されていますが、飲食店の営業時間は短い状態が続いています。花見のシーズンは、事務所近くの新宿御苑は人でごった返していて、感染者が増加するのではないかと思っていたら、やはり感染者は増加傾向です。夜は時短でも、ランチの時は満員の飲食店があったりと、微妙な感じです。

 さて、今回は、令和5年10月からのインボイス方式の導入に向けてのお話です。なぜ、今なのかというと、何度も説明が必要なくらい重要な部分があるからです。

ざっくりインボイス方式とは?

 インボイス方式は、正確には適格請求書保存方式と言います。ざっくりと説明すると、インボイスを発行できる事業者は事前の登録が必要であり、登録した事業者を適格請求書発行事業者と言います。

 インボイスのことを正確には、適格請求書と言いますが、便宜上インボイスという言葉を用いて説明していくことにします。

 適格請求書発行事業者は、インボイスを発行する義務が生じます。また、消費税の申告をするにあたり、インボイスが仕入税額控除の要件となります。従来は、仕入税額控除を受けるためには、請求書及び帳簿の保存だったのが、インボイス方式導入後は、インボイス及び帳簿の保存が必要となります。今までは請求書だったものがインボイスに置き換わるだけですので、大きな差異はないように感じるかもしれませんが、適格請求書発行事業者が発行したインボイスなら仕入税額控除が可能ですが、適格請求書発行事業者でない者が発行した請求書では、仕入税額控除ができない仕組みとなります。

◆問題となるのは免税事業者の対応

 インボイス方式の導入については、課税事業者であれば適格請求書発行事業者の登録を行うことが一般的だと思われます。もちろん、顧客が一般の消費者だけで、インボイスの発行が不要という場合は、適格請求書発行事業者として登録しない選択も稀にはあると思われますが、一般的には課税事業者は適格請求書発行事業者として登録することになると思われます。

 問題となるのは、免税事業者の場合です。一人親方の建設業の場合などで、免税事業者である場合はよくあります。あるいは、士業などでも免税事業者のケースもあります。いずれも、取引先が一般消費者ではなく、事業者である場合が多いです。

 今までは、請求書の保存があれば仕入税額控除が可能でしたが、インボイス方式導入後は、インボイスがないと仕入税額控除が受けられないことになります。例えば、110万円の請求があった場合に、インボイスがあれば10万円仕入税額控除が受けられるところが、当面は経過措置がありますが、最終的には一切仕入税額控除が受けられなくなります。同じ商品を購入したり、同じサービスの提供に対して、10万円を損するのであれば、取引先は適格請求書発行事業者との取引を望むと思われます。つまり、取引先として選ばれるために適格請求書発行事業者としての登録の検討が必要となります。もちろん、免税事業者として消費税を上乗せしないで、110万ではなく100万円の請求を行う選択肢もありますが、免税事業者でも仕入など経費の支払いには消費税がかかっているので、全く転嫁しないと免税事業者が仕入に関する消費税分の負担をすることになります。適格登録事業者として登録を行うのか、どうするのかについては、時間をかけて十分に検討をしていく必要があります。

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