税務最新情報

2021年04月12日号 (第393)

所得税確定申告が終わっての雑感

 みなさん、こんにちは、今年の確定申告は4月15日まで、期日的にはもう少しありますが、事務所内で作業は終了しました。確定申告期間中は、初めて確定申告される方から問い合わせがあったり、お客さんでない方から仕事の依頼を持ちかけられたりと、普段とは違う話が聞けて新鮮でした。

 今回は、そんな雑談めいた話をご紹介します。

◆コロナで売上が減少して赤字なのだけれど大丈夫ですか?

 個人事業をされている方で、コロナで売上が激減していて、必要経費は通常通りかかっている方がいらっしゃいました。「知り合いからの情報によると、売上の何割以上の経費になると税務署が来るらしいので、適当に経費が低くなるようにしてくれないか」との相談がありました。

 確かに、税務署が税務調査の先を選定にするにあたって、業種ごとの所得率との開きのようなものを気にする可能性はあります。ただ、税務調査に来たとしても、実際に必要経費がかかっていて、所得率との開きがあったとしても問題になることはありません。また、所得率と同水準でも、必要経費でないものが経費扱いしていれば問題になります。まして、昨年のコロナ禍の中で、売上は激減は普通のことですし、固定費が減らないのも仕方がないことです。例年と比べて極端な数字になっても普通のことであり、例年に合わせようと意識するのは気にしすぎです。

◆不動産を売却したのですが税金はどのくらい?

 確定申告時期に突然電話がかかってきて、「マンションを◯◯万円で売却したのですが税金はどのくらいかかりますか?」というケースがありますが、はっきり言って答えようがありません。「だいたいでいいですから」と言われても、困ってしまいます。

 不動産の売却の場合は、いくらで売れたかという問題もありますが、いくらで購入しているかとの情報も必要ですし、購入してからの経過年数も必要です。また、居住用の不動産であれば、特別控除があったりと計算が複雑なのです。

 利益の二割強の税金と回答することはできても、利益の金額と売却した金額は、全く異なりますし、利益の金額が計算できないことにはお話にならないのです。

 税理士は職業として税金に関わっているので、報酬をいただいているお客さんの仕事をこなすのが最優先ですし、そもそも確定申告時期はとても忙しいのです。突然の電話に対応できるほどの余裕はないのが実態です。行政である税務署と税理士を勘違いしている方って、いらっしゃるのです。

◆申告が必要かを確認してその先を知りたがる人

 お客さんから知り合いの税金の相談にのってくださいという話。意外と多いのが、申告が必要ですかという話。給与と年金の所得があるケース、保険の満期で一時金が入ったというケースなどです。お客さんからの紹介だと、とりあえず話を聞いて、申告が必要か否かは数字を確認してみないとわからないので、数字を聞いて、申告が必要ですと回答します。そこで、仕事につながればよいのですが、「申告しなかったらどうなりますか?」という質問が来るケースがあります。失礼な言い方かもしれないのですが、こういう方って、申告が必要なことを知っていて、不安解消のために質問してるように感じます。税務署が把握すれば追徴されることになるというのが回答なのですが、さらに「バレますか?」と聞かれたりします。実際に何年分かまとめて追徴されているケースもありますし、どのくらいの確率でバレるのかは、私にもわかりません。


 税に対する意識って、すごく幅があるなと、普段接しない人と接すると感じます。会社経営をされている経営者などは、定期的な税務調査の経験などで、税に対する意識が醸成されていくのだと、改めて感じる季節でした。

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