税務最新情報
2021年04月01日号 (第392)
名義変更プランに対して新たな規制
みなさん、こんにちは、緊急事態宣言は解除されましたが、飲食店の営業時間は21時まで、厳しい状況です。24時間営業のファミレスなどでは、ベテランのフリーターが職を失い退職するなど、経済的な損失以上に人的資源の損失などの話が聞こえてきます。仮に、通常営業に戻った場合に、人の確保ができるのか、壊してしまった経済は戻るのかが心配です。
さて、今回は、生命保険契約の名義変更プランに関する規制のご紹介です。
名義変更プランとは
名義変更プランとは、低解約返戻型保険や介護保険を利用した節税スキームです。
具体的には、低解約返戻型保険と呼ばれる、契約当初一定期間は解約返戻金が低く抑えられていて、一定期間経過後、解約返戻金の金額が大きくなるような保険契約を締結して、解約返戻金が低い期間について、会社が保険料を負担して、解約返戻金が低い段階で、契約者を会社から個人へ変更します。解約返戻金相当で評価されるので、支払った保険料に比べて、極端に安い金額で譲渡することが可能となります。もちろん、個人で解約した際に税金がかかりますが、一時所得となるので税負担は大きく抑えられることになります。
介護・医療保険を利用するスキームは、介護保険などは、解約返戻金が極めて小さいものもあります。そこで、払込期間を役員の在職中の期間で保険期間は終身の契約などに加入します。保険料を会社で負担して、払込期間終了後に契約者変更を行いますが、最終的な保険金メリットを個人が受けるというような利用方法です。
◆具体的な内容
現時点では、税務雑誌などからの情報ですが、解約返戻金が資産計上している金額の七割未満の場合は、資産計上額で評価されるとの改正のようです。ただ、実際にどのような改正になるのかは、まだ見えないように思います。
資産計上額との比較の場合は、そもそも全額損金算入となるような保険は、評価なしで契約者変更できてしまいますし、ちょっとみえない部分があります。名義変更プランを全面的に封じ込めるには、払込保険料と比較するなど、もう一つ仕組みが必要になりそうです。
◆遡及適用もありえる?
従来は、保険に関する取扱いに変更がある場合は、通達公表後の契約についてということでした。別な見方をすると改正前に駆け込みで保険契約を締結するなどの動きがあったのですが、今回は遡及適用されるとの情報が流れてきています。2019年7月8日以降の契約について、改正後に名義変更を行った場合に適用されるとの記事です。
過去に契約した部分まで適用になるのはかなり厳しい現状があります。もちろん、改正前に名義変更を行えばという話は想定できますが、低解約返戻型の保険などは、節税効果を期待して保険料を大きく設定しているケースがあるので、契約変更後の長期間の間、個人で保険料を負担して、法人税の節税効果も期待できないなど、契約者を変更して逃げたとしてもメリットがほとんど得られない可能性もあります。一方で、解約すると、解約返戻金が極端に低くなり、実質大きな損失となることも想定され、八方塞がりになる可能性があります。
2年前に、いわゆる節税保険が利用しにくくなり、さらに今回、名変プランまで利用できなくなると、法人向けの保険の販売をしていた保険業界にとっても厳しい改正です。
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