税務最新情報
2020年12月21日号 (第382)
令和3年度税制改正大綱の全体像
みなさん、こんにちは、今年最後の税務情報です。良いお年をお迎えください。
さて、今回は12月10日に公表された、令和3年度税制改正大綱から、その全体像についてご紹介します。
全般的に地味な内容!
昨年もそうでしたが、令和3年度税制改正大綱を一読して、最初に感じたのが地味な内容だなとの思いです。背景としては、新型コロナウイルス感染症の影響で、経済が良くない状況となっており、増税には全く手を付けられず、一方で給付金等の支給などで財政的な負担が大きかったため減税にも手を付けられず、身動きが取りにくい状況なのだろうなということが想定されます。
全体的には、既存の税制を微調整するというような内容が多く、新しい仕組みや制度というものはほとんどない状況です。
◆改正の内容
①押印義務の廃止
税制というより手続きですが、国税と地方税について、現行において実印による押印や印鑑証明書の添付を求めているもの等を除き、押印義務を廃止することになりました。
②電子帳簿保存制度の見直し
こちらも、手続き的な話になりますが、電子帳簿保存については、事前承認制を廃止することとしました。
現行の厳格な要件を満たす電子帳簿には優良な電子帳簿として普及促進の措置を講じるとともに、その他の電子帳簿についても正規の簿記の原則に従うなど一定の要件を満たす場合には、電子帳簿として電子データのまま保存することを当面可能とします。
紙の領収書の原本に代えて、スキャンした画像を保存する制度については、ペーパーレス化促進の観点から、手続・要件を大幅に緩和するとともに、電子データの改ざん等の不正行為を抑止するための担保措置を講じるとのことです。
③デジタルトランスフォーメーション
大綱で、DXという言葉が非常に目に付きます。デジタルトランスフォーメーションの省略形のようですが、デジタルを利用した変革という意味だそうです。
DXに向けて、クラウド型のシステムへの投資促進税制が利用可能となります。また自社利用ソフトウェアの取得価額を構成する試験研究に要した費用について、研究開発税制の適用となります。
④住宅ローン控除
控除期間を13年間とする特例を一定の期間に契約した場合に、令和4年末までの入居者を対象とする形で延長することとしました。
合計所得金額が1,000万円以下の者については、床面積40平米から50平米までの住宅も対象とすることになりました。
⑤IR(統合型リゾート)関係
IR事業の国際競争力を確保する観点から、非居住者のカジノ所得については非課税となります。
一方で、居住者のカジノ所得については、国内の公営ギャンブルと同様に課税されることになります。
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