税務最新情報

2020年12月10日号 (第381)

令和元事務年度の所得税及び消費税の税務調査

 みなさん、こんにちは、そろそろ税制改正の内容の話が、聞こえてくる時期です。来年度の税制改正については、大綱公表後ご紹介していきます。

 さて、今回は11月に国税庁が公表した令和元事務年度所得税及び消費税調査等の状況より、どのような調査が行われているかをご紹介していきます。

調査の種類

 税務署側からみた調査については、実地調査(特別調査・一般調査)、実地調査(着眼調査)、簡易な接触というような分け方をしているようです。具体的には、下記のような説明があります。

1.実地調査(特別調査・一般調査)とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものです。

2.実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査です。

3.簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。

 普段、税務調査を受ける側の納税者からすると、上記の1なのか2に該当するのか気になるところですね。いずれにしても、申告漏れや脱税が見込まれる場合に実地調査が行われていることが読み取れます。感覚的には、個人の調査は少ないと感じますが、来る時は何かを掴んでくるのですね。

◆所得税の調査について

 コロナの影響で調査件数は減っているものの一件あたりの追徴税額は増加しているようです。調査件数は43万1千件で、申告漏れ等の非違があった件数は26万3千件だそうです。割合で考えると調査されたうちの61%が申告漏れ、逆に言うと39%が問題なかったという雰囲気でしょうか。ちなみに実地調査1件あたりの追徴税額は166万円とのことですから、多額の脱税をしているところを狙って調査しているのでしょうね。

 また、土地や株式などの譲渡所得については、1万3千件の調査をして、申告漏れ等の非違があった件数が1万件と非違の割合が76%となっています。

 取り組みとしては、富裕層向けの調査、海外投資等を行っている個人への調査、インターネット取引を行っている個人への調査が多いようです。

 租税条約に基づく情報交換、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などで、過去に海外への財産隠しを行っていた事案が発覚しているようです。

 申告漏れが高額な業種については風俗、キャバクラ、経営コンサルタントが上位なのは例年通りですが、太陽光発電が4位に入っており、時代の流れを感じさせます。

◆消費税の調査について

 消費税については、全体で6万7千件の調査、申告漏れ等の非違があった件数が4万5千件だそうです。67%程度で申告漏れ等の非違があったことになります。

 消費税については、無申告者に対する調査に重きをおいているようです。技術的に納税義務の判定が難しいという側面がありますが、無申告は自発的に適正な納税をしている納税者に対して不公平感をもたらすことから厳格に対応していく必要があるとしているようです。

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