税務最新情報

2020年11月02日号 (第377)

税務調査で確認される棚卸しの数字

 みなさん、こんにちは、すっかり秋らしい天候になりました。暖房にしないと寒いくらいですね。

 さて、今回は、税務調査で確認される事項で棚卸し、在庫に関する内容です。

棚卸しの数字に対してどのような着眼をするか

 そこそこ店舗数がある小売店で、税務調査が入りました。調査終了時に、調査に入ったきっかけが売上高が伸びているのに在庫の金額が減っていることを指摘されました。在庫の金額が減っているのは、お店の方針で在庫を減らすように徹底したからなのですが、調査中も各店舗から送られてくる毎月の棚卸表を合計して在庫の変動を月ごとに確認するなどの調査手法でした。

 店舗数が多い小売店で、税務調査で本当の在庫の数量を把握することは現実的には無理かもしれませんが、毎月の棚卸表を集計することで、本当の在庫の動きが減少傾向なのか増加傾向なのかは把握できます。調査の現場では、毎月送られてくる棚卸表を集計して、会計データと一致しているかどうか、本当に減少傾向なのかという視点で調べていたのだと思います。仮に不正をしているとすれば、決算の際に集計と一致しないなどの異常が見られる可能性があります。

◆具体的な在庫の漏れの確認

 決算日を相当経過してから、棚卸しの数字全体が正しいか否かの検証を行うことは難しいかもしれません。しかし、あるはずのものが無い状態になっているか否かを検証することは可能です。

 1つ目の手法は、納品書などから決算直前に入庫されているものをリスト化して、それが在庫として計上してあるか確認する方法です。もちろん、決算日までに売却されたものもあるかもしれませんが、それは売上の資料から確認可能です。

 2つ目の手法は、決算後に納品されたものが在庫に計上されているか確認する手法です。決算日後に納品なので決算時に在庫として残っているはずという視点です。この手法は、小売業などでも利用できますが、建設業やサービス業などでも検証可能な手法です。

◆棚卸しに関する会社側の問題点

 月次で棚卸しをすることで、はじめて月次の粗利益が計算できるので、月次決算を正確に行うためには月次で棚卸しを行うことが必須となります。ところが、月次で実地棚卸をしても、大きな誤差が出ることが多々あります。製造業などで、小さくて高額な部品などがある場合に、箱ごとカウントされずにいて、翌月にはカウントされるなど、棚卸しを行う側の人為的なミスがどうしても起こってしまいます。そのような、ミスを防ぐために、在庫の受払を記録して理論値としての在庫を把握できるようにしているのですが、それでもミスが起こります。

 ミス防止の方策としては、理論値を把握して比較して異常があった場合には再調査できるようにすること、店長や責任者が立ち会うなど、棚卸しの作業について重要である認識をもってもらうことなどが考えられます。

 また、棚卸しに店長や責任者が立ち会うことは、不正防止にも役立ちます。中小企業では、社長自らが棚卸しに立ち会うケースもあります。小売店などでは、従業員による不正なども起こります。具体的には在庫品を横流ししたり、レジを通さないで売上金を着服するなどの不正が考えれます。このような不正を継続すると、在庫の数量が理論値より少なくなるのですが、そのずれを誤魔化すように在庫の数を膨らますなどの不正を行っているケースも想定されます。棚卸しを1人で抱え込む傾向がある場合は、そのような不正の可能性がありますし、それを防止するには、棚卸しに複数の人が関与し、さらに定期的な人事異動を行うなどの方法が考えれます。


 棚卸しについては、月次決算を正確に把握するためにも、従業員の不正などを防止する趣旨でも非常に重要です。税務調査などでも、重要な項目として確認されるので、棚卸しに関しては、普段から正確な数字を把握できる仕組みづくりが必要です。

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