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2020年09月01日号 (第371)

節税商品の見直しの時期

 みなさん、こんにちは、9月になってしまいました。コロナの問題が起きないで、東京オリンピックが開催されていたら、まったく異なる経済環境になっていたのかもしれません。

 さて、今回は、お客さんから相談される、今できること、すべきことということで、節税商品の見直しについてご紹介していきます。

節税商品の仕組み

 節税商品としては、経営セーフティ共済、保険、リースなどが典型的ですが、経営セーフティ共済の例で簡単に仕組みを説明します。経営セーフティ共済は、100万円払えば全額費用になって、実効税率が30%なら、30万円ほど法人税が抑えられます。そして4年経過した以降で解約すれば、払った額がまるまる戻ってくるという流れになります。年間30万円税金が安くなって、払った金額がまるまる戻ってくるのは、お得と感じるかもしれませんが、払った額が戻ってきた際に利益となり課税されます。実際は、課税を先送りしているだけで、課税の繰延という表現をする場合があります。ただ、課税の繰延であっても、黒字のときに費用化しておいて節税効果を享受し、大きな赤字が生じたときに解約して、赤字の補填とすれば、結果として課税は行われません。考えようによっては、黒字の際の課税を抑え、赤字の補填に役立ったと考えることができます。

◆節税商品の弱点

 節税商品全般に言えることですが、黒字の状態が続くと解約のタイミングが見つからないというケースがあります。退職金の支払い時に解約するなどの具体的なプランがある場合は良いのですが、とりあえず黒字なので節税商品を購入して、黒字の状態が続きいつまでも解約できないというケースもありがちです。経営セーフティ共済のように、支払った額がまるまる戻ってくるのであれば、それでもよいのですが、多くの商品は若干の目減りが生じるので、長期間購入し続けると目減り部分の負担が重く感じることもあります。

◆コロナ禍における節税商品の見直し

 コロナ禍で業績が悪化している会社では、経営セーフティ共済や保険の解約など節税商品の解約するケースが増えています。そのような節税商品を解約することで、まとまった資金が入ってくるので、資金繰りの足しにもなります。さらには、大きな赤字となっている場合は、保険の解約などの利益に対する課税の問題も生じません。

 長年黒字が続いている会社では、多くの節税商品を購入して、継続してきているケースがありますので、この際に見直すことも重要です。

◆節税商品以外の資産の処分なども要検討

 節税商品以外でも、利用していない不動産など換金可能なものを処分するのも、業績悪化時に検討すべきです。この場合に、単純に外部に売却するという形だけでなく、同族法人などでは、法人名義の不動産を個人名義にするなどの資産処分なども考えられます。不動産を個人に売却することで売却益が発生しても、業績悪化に伴う赤字と通算することで課税されない状態で個人に不動産を移すことが可能です。

 不動産、有価証券など含み益がある資産を有する場合も、黒字の状態であれば税負担の重さを感じますが、大きな赤字が出ているときなら、含み益部分が赤字と相殺され課税がない状態で、換金できるというメリットがあります。貸借対照表を確認して、処分可能な資産あるいは、処分すべき資産がないか検討してみるのも一つです。

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