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2020年08月03日号 (第368)

レジ袋の有料化と軽減税率

 みなさん、こんにちは、7月1日からコンビニなどで買い物をすると、レジ袋が必要か確認され、必要というとレジ袋代がかかりますと言われるようになりました。今回は、レジ袋の有料化と軽減税率につてご紹介していきます。

有料化となるレジ袋

 令和2年7月1日より、プラスチック製買い物袋を扱う小売業を営む事業者は、レジ袋について有料化することが義務付けられました。

 実務的な視点からは、今までサービスで付けていたものですから、無料で渡すことができないのか気になるところですが、袋が不要な場合に値引くことやポイントを付与することはできないとされており、お金を受け取る必要があるようです。

 金額的には、2円から5円程度の設定が多いようですが、金額の問題以上に現場にとっては負担が大きい取扱いです。

 ちなみに、紙袋、布の袋、持ち手のない袋は有料化の対象ではなく、プラスチック製の買い物袋に似ているのですが、一定の厚みがあるものは繰り返し使えることから、海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの、バイオマス素材の配合率が25%以上のものなどは環境に優しいことから、有料化しなくてよいそうです。某家電量販店では、バイオマス素材配合のものを利用していました。

◆軽減税率との関係

 食品小売店などでは、食品の販売は軽減税率なのに、レジ袋は標準税率となります。よって、領収書を書いてくださいと言われた場合なども、軽減税率分と標準税率分を別けて記載することが必要となります。普通に、複数税率に対応するレジを導入していれば全く問題ないのですが、食品しか扱っていない小規模小売店などでは、複数税率に対応していない旧式のレジを利用している場合もあります。特に高齢者などが、経営している食品小売事業者などは、レジ袋の有料化そのものに対応できるのか微妙に疑問が残ります。

 消費税の実務としては、軽減税率導入後は、区分記載式の請求書が必須となっており、レシートの場合でも、軽減対象資産の譲渡等である旨の記載、税率ごとに区分して合計した税込み対価の記載が必要とされています。

 軽減税率の導入で、事業者に負担がかかるようになりましたが、今回のレジ袋の有料化は、さらに大きな影響があるように思います。飲食店などの経理処理で、野菜店や精肉店、鮮魚店などでの買い物は、6月まではすべてが食品の仕入れで全てが軽減税率の対象となっていたのが、7月以降は、レジ袋の有料化に伴い全ての領収書が標準税率と軽減税率が混在することになります。原則課税の場合は、単純に入力の手間が倍になります。実務をやっている者の立場からすると、2円だか5円のために入力作業が倍になってしまうのですから、やりきれなさを感じます。

 実際に飲食店の実務を行ってみると、大口の仕入れは月極で請求書がきますが、肉、魚、野菜などは、日々小売店などで購入しているケースが多くあります。スーパーなどのレシートであれば、食品と食品以外が混在していてもレシートから内訳が明らかですが、鮮魚店などは手書きの領収書というケースもありがちで、実際に区分して記載してくれるのか非常に気になります。現実問題として、レシートからは軽減税率か標準税率が区別できないケースが多々あります。レジを利用している場合はともかく、手書きの領収書も実務的には、一定割合は残っており、食品の販売と想定されるけれども、税金の額の記載もなく、総額で金額だけ書いてあるケースなどもよくみかけます。


 今回のレジ袋の有料化は、今までは標準税率のものを扱わなかった小売店にも、複数税率の影響を与えることになります。複数税率そのものでも実務が追いついていけない状態だったのに、今回のレジ袋の有料化の影響で、実務が混乱してしまうことが予測されます。

 資金的に余裕があれば、バイオマスの袋を利用するなどの解決方法もあるかもしれませんが、零細小売店には新たな難問が増加したように感じます。

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