税務最新情報
2020年07月01日号 (第365)
源泉税の納付と路線価
こんにちは、この時期にマスクを付けるのは辛いですね。メガネは曇るし、汗は拭けないしといった状況で、半年前には夏にマスクをすることなど考えもしませんでしたから時代の変化に戸惑わせられます。
さて、今回は、時期的な話題を2点ほどしていきます。
源泉税の納付と納税猶予
7月10日は、納期の特例を利用している場合に1月~6月分の源泉税の納期限となります。会社によっては、まとまった支出となり負担が重いのが源泉税の支払いです。コロナの影響で、大きな赤字となり資金繰りが逼迫しているケースもあると思います。
コロナの影響で、国税庁から次々とFAQが公表されるので混乱気味ですが、源泉税については、下記の6ページのように摘要欄に「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」と書いて納付すれば、納付したときが納付期限となるようです。
【国税庁】法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延⻑⼿続に関するFAQ
上記の問4を見ると、個別延長するのに、申請書の提出の必要はないとしているところが、ポイントです。
また、納税猶予で検索すると下記のように、納税猶予申請書の雛形も公表されており、こちらの書類でも納税猶予ができますが、記載内容が増えてしまいます。
ちなみに法人税や消費税についても、申告書に「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」と記載すれば、申告時まで納期限が延長されますが、申告した日が納期限となります。そこからさらに納期限を延長したい場合は、上記の納税猶予申請書を利用する必要があります。
実務的な視点からすると、申告してしまうと納期限が到来する、つまり、早く申告することが不利になる場合が生じる不思議な状況です。ただ、コロナの影響で資金の目処がつかないような場合は、敢えて申告を遅らせるのも一つの手段と割り切る必要がありそうです。
◆路線価が減額されるかもしれない
例年7月1日に路線価が公表されます。7月1日に公表される路線価はその年の1月1日時点の価格とされています。今年は、コロナウイルスの影響で経済環境が激変していて、不動産の売買価格についても不透明な状況です。少なくとも1月1日の状況で考えるなら、昨年より地価は高くなっていたと思われます。
しかし、コロナ禍で、不動産投資をする、住宅ローンを新たに組むなどの件数は大幅に減少することが予測され、昨年より上昇した路線価になるのかという点について、税理士業界の中でも話題となっていました。
6月24日の日本経済新聞で、下記のように報道されています。
新型コロナウイルスによる経済活動低迷などの影響で大幅に地価(時価)が下落した場合、相続税や贈与税の算定に使う「路線価」を減額修正できる措置を国税庁が検討していることが23日、関係者の話で分かった。実態と乖離(かいり)した課税となるのを回避するのが目的だ。
記事の内容では、具体的な数字までは不明ですが、7月1日に公表される路線価を減額修正できる取扱のようです。数%程度の調整ならこのような特例は実施しないでしょうから、それなりに大きな割合での減額が予想されます。相続税がかかるか否かについては、都心の場合は10%でもかなり大きな影響が出るので注視していきたい内容です。
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