税務最新情報

2020年05月20日号 (第361)

コロナ関連の税務上のFAQが更新

 みなさん、こんにちは、4月30日に国税庁より「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」が更新されました。既に、お知らせした内容以外の新しい情報が含まれていたので、法人に関する重要と思われる部分について、ご紹介していきます。

特例猶予制度

 従来の猶予制度は、換価の猶予と納税猶予がありました。換価の猶予は、「事業継続又は生活の維持が困難であるとき」、延滞税が8.9%から1.6%に軽減されますが、担保の提供が必要な制度です。納税猶予は、延滞税が全額免除となる場合がありますが、地震や台風で家が壊れるなど「財産の損失」を要件としていました。

 新型コロナウイルス感染症及びその蔓延防止のための措置としては、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する国税について、下記の要件を満たす場合は、無担保かつ延滞税なしで1年間納税猶予が認められます。

① 新型コロナウイルス感染症等の影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、売上高が前年対比で、概ね20%以上減少していること

② 一時に納付することが困難であること

 すでに、納期限が過ぎている場合でも、令和2年6月30日までであれば、遡って納税猶予を認めるとのことです。また、要件の概ね20%以上とか、困難であることという記載が、法律上の取扱としてはぼかした形になっているので、微妙な場合は、税務署に相談してみるのがよいと思います。

◆法人税に関する取扱い

 コロナ関連で、緊急支援の取り組みとして、自社製品を学童保育施設、子供食堂などに無償提供した場合に、損金算入が認められるとのことです。

 企業がマスクや消毒液を下請け業者などの取引先に対して、無償で提供した場合は、①提供を行う取引先等で、マスク不足が生じていることにより業務の遂行上著しい支障が生じている、又は今後生じるおそれがあること、②その取引先が業務を維持できない場合に、操業が維持できない、営業に支障が生じる、仕入が困難になるなど直接的間接的な影響が生じること、という要件を満たしている場合は、費用処理が認められるとのことです。

 要件を満たさない場合は、費用になりませんし、無償提供したものが転売されている場合などは、寄付金扱いとなります。

 不動産貸付業が、賃料減額を求められ減額に応じた場合は、下記の要件を満たせば寄付金としては、扱わないとのことです。

① 取引先等で、コロナウイルスの影響で収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること

② 賃料の減額が、取引先等の復旧支援を目的としたものであり、そのことが書面などで確認できること

③ 賃料の減額が、取引先に被害が生じた後、相当の期間内に行われたものであること

 書面などがないと、売上の計上が必要になるという、微妙に厳しい取扱いです。善意で待つとか、請求を急がないという成り行き的な対応ではなく、書面を交わして正式に減額の取扱いとするのがよさそうです。

  役員給与について、基本的には定期同額であることが損金算入の要件となっていますが、コロナの影響での明らかな業績悪化に起因する場合は、業績悪化改定事由があるとして、期中改定が認められる可能性が高そうです。

 ただ、この辺りは、コロナの影響で業績悪化があったという事実認定が必要なので、税理士などに相談されたほうが良い部分です。

 上記の説明は、かなりかいつまんでいますので、詳しくは、下記を御覧ください。

【国税庁】国税における新型コロナウイルス感染拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ

 

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