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2020年04月10日号 (第358)

新型コロナウイルス感染症拡大防止への国税庁FAQ

 みなさん、こんにちは、新年度になりましたが、いろいろと難しい局面になっています。仕事の面で言えば、テレワークなど利用できる環境ならよいのですが、そうでない場合にどう対応するのか、難しい問題が生じます。仮に外出禁止となっても、食品など生活必需品を販売するような店舗は、営業が必要でしょうし、その流通過程で働く人も仕事をする必要があったりと、疑問がつきません。

 国税庁が、3月に「国税における新型コロナウイルス感染拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を公表したので、重要部分についてご紹介していきます。

◆一括延長の対象とされていない手続の期限延長

 所得税、贈与税、個人事業者の消費税など、一括して申告・納付期限が延長された手続きについては、ご紹介済みですが、法人税や源泉税についてはどうなるのでしょうか。

 都内で仕事をしていると、電車に乗れば大勢の人と接触する機会がありますし、経営者や経理担当者が新型コロナウイルスに感染する可能性もいくらでもあります、関与している税理士が感染する可能性もあります。そのような事態が生じた場合に、法人税の申告、あるいは毎月の源泉税の納付などどのように対応すればよいのか疑問でした。とりあえず、FAQによれば、個別に申請することで、申告期限等が延長されるとしています。

 経営者や経理担当者が感染してしまったなどの直接的な場合以外にも、感染症の患者への濃厚接触者に対する外出自粛の要請などにより期限までに申告・納付ができない場合などもやむを得ない事情に含まれるとのことです。また、経営者が海外に渡航していて、入国制限などがある場合、関与している税理士が感染してしまった場合など、かなり幅広く申告納期限の延長が認められると思われます。それ以外にも、株主総会が必然的に大人数になるような場合などに、株主総会を延期した場合も、申告期限の延長が認められることになります。

◆資金繰りの悪化への納付期限の延長

 お客さんとの話題で、売上が前年対比60%とか、損益分岐点を割り込み大幅な資金不足などの話があります。実際に、大手百貨店が土日を休業にするとのことですが、百貨店やショッピングモールは土日が稼ぎ時なので、土日休業の影響は、はかりしれないものがあります。業績悪化にともない資金繰りの関係で、納税できない場合は、どのように対応したらよいでしょうか。

 資金繰りの関係で、納税ができない場合に、納付の猶予制度が設けられています。ただし、一律にルールが決まっているという話ではないので、FAQによれば、所轄税務署の徴収担当に電話してくださいとのことです。資金がショートしそうな場合に、新たな資金調達、支払いの優先順位など、十分に検討する必要があります。今を、乗り越えて、さらにその後の事業継続が課題となります。

 なお、緊急融資については、数件のお客さんが、すでに対応してもらっているようで、金融機関もフットワーク良く動いてくれているようです。資金繰りの心配がある場合は、納税猶予だけでなく、緊急融資もぜひご検討ください。

◆個別の延長の手続きについて

 上記の、個別の申告・納期限の延長について、いつまでに申請手続きを行うのかについては、やむを得ない理由のやんだ日から相当の期間内(おおむね1ヶ月以内)に、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することで、税務署長が指定した日(災害等のやんだ日から2ヶ月以内)まで期限が延長されます。

 なお、FAQによれば申請書の提出に代えて、申告書等の余白へ、①申告・納付等の期限の延長を申請する旨、②新型コロナウイルス感染症に関連して申告・納付等を行うことができない具体的事実を付記する形でも大丈夫とのことです。

◆税務調査など

 実は、4月の初めに税務調査の予定が入っていました。3月末の感染者の増加をみて、お客さんから、延期したいとの話がありました。その旨連絡した際に、お話を聞いたところ、新規の調査は連絡していない、すでに約束が入っているものは予定通り行っているが、延期の要請があれば対応しているとのことでした。

 個人的には、不要不急の外出を避けるようにという判断なら、予定が入っているものも含めて、一旦税務調査を中止すべきではないかと思います。感染の可能性を低くすることが最優先なら、国の機関である税務署がそのように判断すべきと思います。

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