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2020年02月20日号 (第353)

医療費控除について、あれこれ

 みなさん、こんにちは、今年は暖冬ですね。2月というと、いつもかなり寒い思いをして仕事をしているイメージですが、今年はそれほどでもないように感じます。ただ、暖冬は、小売などの業界にとっては悪影響です。さらに、製造業のお客さんからも、景気が悪くなっているような感触の意見がよく出てきます。今後の景気の動向については、慎重に判断していきたいところです。

 さて、今回は、確定申告シーズン中ということで、医療費控除に関して、ご紹介していきます。

10万円以下でも医療費控除が受けられる場合

 医療費控除は、一般的に年間10万円を超える医療費がかかった場合に適用されますが、10万円を超えない場合でも適用になる場合があります。総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5%を超える場合に、その超えた部分について適用となります。

 例えば、普段確定申告をしている人が所得200万円以上で、医療費の額が9万円という場合は、医療費控除が使えないのですが、扶養家族ではない配偶者が医療費控除を利用できるケースがあります。例えば、配偶者の所得が150万円なら、配偶者は7万5千円を超える部分が医療費控除の対象となります。税率が低いので、還付金額はそれほど、大きくはありませんが、スマホで確定申告ができるので、確定申告自体のハードルは低くなっています。特に給与一箇所で医療費控除の場合は、典型的にスマホでの確定申告が可能なパターンなので、検討してみてはいかがでしょうか。もちろん、スマホではなくパソコンを使ったe-Taxについても、初心者でもパソコンが普通に使える人なら、気軽に利用できるくらいの難易度なので、ぜひ挑戦してみましょう。

◆「医療費のお知らせ」の落とし穴

 平成29年から、「医療費のお知らせ」を利用して医療費控除が可能となりました。ところが、意外な落とし穴があります。医療費のお知らせには、なぜか9月までの医療費しか記載されていません。理由は、医療機関が翌月に保険の請求をして、その審査の期間などがあるので、12月分までの医療費を記載できないことが原因です。ちなみに、平成30年の12月分までの医療費のお知らせは、平成31年の3月末頃にお客さんのところに届いていたようです。お客さんは、慌てて速達で送ってこられましたが、確定申告期間が過ぎていますし、あまりメリットになっていません。

 また、「医療費のお知らせ」があるからと、領収書を捨ててしまうお客さんがいらっしゃったりと、かえって混乱が増えている部分があります。その他にも、保険が適用されない医療費は一切記載されません。自由診療の歯の治療などは高額なケースが多いですが、「医療費のお知らせ」には記載されていません。

 もっとも、領収書をなくされてしまうお客さんもいますので、ないよりはあったほうがよいのですが、「医療費のお知らせ」に頼り切るのは問題で、領収書の保管は重要です。

◆医療費控除で間違いやすい項目

(1)人間ドックと健康診断

 医療費控除の適用で、典型的に間違いやすいのは、人間ドックや健康診断の費用です。取扱いとしては、原則として医療費控除の適用にはなりません。ただし、健康診断や人間ドックで、重大な疾病が発見され、その診断に基づき治療を行った場合には、医療費控除の対象となるというような、イレギュラーな扱いとなっており、必ずしも適用にならないと言えないところが難しいところです。人間ドック費用は、金額が大きいので、その領収書を除いてしまうと10万円を下回るケースはありがちです。

 それ以外には、インフルエンザなどの予防接種や診断書代も、医療費から除かれます。

(2)薬局で購入した薬

 薬局で購入した風邪薬なども医療費控除の対象となります。お客さんから預かる領収書が、医療機関と処方箋薬局だけの場合がよくあります。日常的に、薬局で薬を購入されている場合に、1年分合計するとそれなりの額になることがあるので油断禁物です。

(3)交通費

 これも、報告してくれない納税者の方が多いのですが、通院の際の、電車賃、バス代、タクシー代など医療費控除の対象となります。お年寄りの方で、骨折して通院という場合には、医療機関へ払う医療費よりタクシー代の方が高く付くケースもあります。バス代、電車代などは、領収書がなくても、通院の記録から金額が計算できるはずです。

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