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2019年12月10日号 (第346)

まだ、間に合う!個人が年末までにやるべき税金対策

 みなさん、こんにちは、すっかり寒くなってきました、さすが12月です。通常なら師走は稼ぎ時のはずなのですが、消費税増税直後の10月の数字は散々だったこと、さらに倒産件数が多かったとの報道で、景気の方向性が怪しい状況です。

 今回は、個人が年末までに行うことで、税金の計算で有利になるかもしれないというお話をご紹介していきます。

所得税は累進税率なのでタイミングが重要

 法人税は、基本的に累進税率になっていないために、節税と呼ばれる対策をとっても、ほとんどが課税の繰延と言って、長期的には大きなメリットが存在しない場合が多いです。

 一方で、個人の場合は超過累進税率が適用されるため課税所得が高い年と小さい年では、適用される税率が異なります。転職や退職を控えていて、今年に比べて来年のほうが明らかに所得が下がる可能性がある場合は、同じ金額の所得控除を受ける場合でも、税率が高い年に受けたほうが有利ということになります。

 また、分離課税となって累進税率が適用されない株式投資などでも、大きく儲かっていることが明らかなら、年内に損をしてでも他の銘柄の株式を売却することで、税負担を低く抑えることが可能な場合があります。株式投資を継続的にしている人は、儲かっている金額をみながら、損切りをするなど調整しているようなケースはよく見受けられます。

 同じような話が不動産の売却でも利用できる場合があります。大きく儲かった土地の売却があった年に、敢えて、損をするような土地の売却をぶつけるなどの手法です。元々、土地を複数持っていないと不可能な話ですが、別々の年に売却していれば課税されたはずの税金が、同じ年度に損が出る売却をすることで、結果として無税になるという話も起こりえます。

 法人税は、繰越欠損金という制度があるのに対して、所得税の場合は繰り越せる損失も一部ありますが、大部分は1年限りで処理を行い、さらに超過累進税率の適用ということで、1月から12月の計算に含めるのか否かで、大きな差ができることがあります。

◆具体的にできること

①ふるさと納税

 最近の所得税節税の中で最も有効なのはふるさと納税と思っています。お客さんのところへ訪問してもふるさと納税をオススメするケースが多いです。

 厳密には、節税ではなく、純粋な税負担で言えば2,000円余分に支払う形になります。ただし、返礼品が合計で2,000円相当額を超えれば、その超える部分は有利になります。

 昨年までに比べると、返礼品について見劣りしますが、それを考慮しても、有利です。

②社会保険料の期日前支払い

 今年と来年を比較した場合に、来年は明らかに所得が落ちるという場合などに有効です。国民健康保険、国民年金など、期日より先に納付してしまうというものです。国民健康保険や国民年金は、いずれ必ず支払わなければならないものです。今年支払えば、支払った額に対する税率分、税金が安くなります。来年は所得が低くて税金がかからない予定という場合には、明らかに違いが生じてくることになります。

 ただ、それほど所得が変わらない場合か増加傾向なら、影響はありません。

③その他

 事業所得や不動産所得がある人は、近い将来必要になるものを12月中に購入、使用を始めることで、今年の必要経費を増やせます。ただし、今年と来年の所得が同じくらいであれば、課税の繰延になるだけで、あまり意味がありません。

 それ以外には、前半で書いた株式や不動産など譲渡所得となる所得が生じる場合に、通算できる所得で損失が計上できるものがあれば処分するなどの方法です。含み損失がある資産を保有している人は検討してみる価値があります。

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