税務最新情報

2019年09月02日号 (第346)

これは経費で落ちません!

 みなさん、こんにちは、前回ご紹介したeLTAXの電子納税のための事前登録をやってみました。法人の住所や名称、引き落とし口座を入力したら、口座振替依頼書とあて名が印刷できるようになっていて正味15分程度です。事前登録は9月13日までです。

 さて、今回は「これは経費で落ちません!」の話、お客さんからテレビをみて面白かったと聞き、自分はテレビを見る習慣がないので、青木祐子先生の文庫版を読み始めました。これに関連して、今回は税理士的視点での「これは経費で落ちません!」を書いてみます。ちなみに、今回の青木先生の本も良い感じですが、銀行出身の小説家の池井戸潤先生の小説も法人経営者や経理責任者に読んでもらいたい本です。私は、お客さんから、銀行が必要な時に貸してくれないという借りる側の気持ちはよく直接耳にしますが、池井戸先生の作品を読むと銀行側の人の気持ちが多少理解できて新鮮です。

税務の常識と非常識

 脱サラ一年目など初めて税務署に申告する方でありがちなのは、領収書があれば経費で落ちるという誤解です。税務調査を受けた経験がある方なら常識ですが、領収書があればすべてが経費で認められるわけではありません。

 確定申告の相談会場で、売上高より大きい経費が計上されていて、感覚的に違和感を感じて、経費についてお話を聞いていくと、食費やら子供の学習塾やら生活費の一切合切を経費に算入、しかも全部雑費処理しているケースに遭遇しました。仕事に直接関係ないので、経費で落ちないと説明をすると、「全部領収書があります。持ってきましょうか?」との逆ギレ的な反応、どこかでボタンの掛け違えが起きたのでしょうね。「経費で落とす場合、領収書があった方がよい」が「領収書があれば経費で落ちる」との勘違いに繋がったようです。

 長年、税務経理の仕事をしている人の常識は、仕事を始めたばかりの人にとっては「領収書があるのに経費で落ちない」という非常識になるのでしょう。こういうケースの場合は、不正をしようという意識が全くないので、納得してもらうことが一つ目のハードルということで大変です。常識的な判断って、初めて仕事をする人にとっては意外と難しいのです。

◆ベテラン経営者でも勘違いしがちな、それは経費で落ちません!

 ベテラン経営者でも、勘違いしがちな、経費で落ちないパターンもあります。例えば、決算直前に多額な仕入れ、固定資産の購入などです。多額に仕入れを行っても、販売して売上原価にならない限りは経費になりません。また、固定資産は決算直前に購入しても、減価償却で1か月分だけ償却される程度で、大部分は資産計上になってしまいます。

 この辺りの論点は、理屈を気にしている経営者であったり、簿記・会計学の学習経験があると常識的な話かもしれません。一方で、営業畑出身の経営者、技術職だった経営者、職人をしながら経営をしているケースもあり、感覚的には「仕入や固定資産の購入は、どう考えても会社の費用だろう」との発想をしてしまいがちなのです。

 むしろ、費用の期間配分という概念は、会計特有の概念なのですが、それを常識のように感じてしまっている我々も反省する必要があるなと感じることもあります。ただ、税金の計算をする際には、会計のルールに基づいて利益額を計算して、それに基づいて税金の計算をするので、どうしても会計のルールに従う必要が出てくる点は注意が必要です。

 一方で、お見舞い、香典のような領収書がでない支払いについて、領収書がないから経費で落ちないと誤解している納税者もいらっしゃいます。それ以外にも、ちょっとした電車賃など領収書がない場合でも、費用として認められる場合もありますし、ケースバイケースで判断が必要になります。

 インチキは論外ですが、勘違いによる間違いは起こりがちです。税理士や経理担当者からすると当たり前のことでも、経営者や現場の人からすると当たり前ではないケース、常識と非常識があいまいなゾーンが存在します。社内できちんと整理してルールを明確にすることも必要かもしれません。

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