税務最新情報

2019年07月10日号 (第341)

法人における保険料の取扱いの変更

 みなさん、こんにちは、新しい通達が公表され、令和元年の路線価が公表され、平成31年度税制改正に関する財務省解説が公表され、税制に関しては新しい情報が多く出てきました。

 今回は、法人における保険料に関する取扱いについてご紹介していきます。

◆節税対策としての保険は利用が難しくなる?

 契約日が令和元年7月8日以後の保険については、節税対策としては非常に利用しにくい取り扱いになりました。概要としては、以下のような取扱いとなります。

最高解約返戻率取扱い
50%以下全額損金
50%超70%以下契約期間の4割までは60%を損金
70%超85%以下契約期間の4割までは40%を損金
85%超当初10年間 保険料×最高解約返戻率×0.1 を損金

 10年ほど前は、がん保険で全額損金という節税向けの保険が流行しました。極端な話、利益が出た年に加入して、2年目に解約しても解約返戻金で元が取れるという商品でした。しかし、平成24年4月27日以降は2分の1しか損金にならないという取扱いに変更されました。

 その後も、定期保険や逓増定期保険で全額損金で単純返戻率が80%以上となる保険商品が多く利用されてきました。法人税率が3割であることを考慮すると、解約返戻金について役員退職金で損金とするなど出口対策をしておくことで、節税効果を得ることが可能でした。特に、ここ数年、全額損金の保険の大型化が進み、大きな保険金の商品が利用されるケースが目立っていたという背景もあります。

 今回の改正では、全額損金となるのは最高解約返戻率が50%以下のものだけとなり、解約返礼率が高いものは損金になる部分が段階的に制限されていくこととなりました。節税中心という視点では、ほぼメリットが生じない形になります。

◆ハーフタックスは従来通り

 法人が契約者、被保険者を役員・従業員として、死亡保険金の受取人を役員・従業員の遺族、満期保険金の受取人を法人とする養老保険については、従来から変更がありません。

 契約期間にもよりますが満期保険金は90%以上は見込めて、2分の1が損金になるので、一定の節税効果は見込めます。また、死亡保険金が遺族に支払われることから、福利厚生としても十分機能します。

 ただし、全従業員を対象とすることが条件となっており、実際に利用している法人での節税メリットの判断は微妙なところです。離職率が高い会社では、短期間で辞める社員については非常に低い返戻金となることで、単純に持ち出しになっているケースもあります。また、全員加入なので、役員だけにピンポイントで入る保険に比べると出口対策が難しく、節税効果より福利厚生的な性格が色濃く出ます。

◆保険の活用について再考してみましょう

 法人が多額の借入をしていて、代表者が個人保証をしているケースは中小企業ではありがちです。代表者に事故があった場合には、法人を継続することもできず、代表者が個人保証をしているため遺族は住む家もなくなってしまうという不幸が起こる可能性があります。このような万が一に備えて保険を利用するというのが、保障を買うという保険の本来的な位置づけです。

 掛け捨ての自動車保険や火災保険では、節税に利用される余地はありません。それでも、多くの法人では自動車保険や火災保険に加入します。今回の、生命保険の取扱いの変更については、節税ではなく万が一に備えるという保険の本質的な利用へ変化するきっかけになるかもしれません。

 過去に入った保険に関して、不利な取り扱いになるわけではありません。今後、保険に入る際に必要な保障だけを選択できるようになるという意味では、保険の位置づけを考え直すきっかけになりそうです。

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