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2019年06月03日号 (第347)

食品の容器は軽減税率の対象となるのか?

 みなさん、こんにちは、一気に夏の気温になりつつあります。体調管理には気を付けましょう。マスコミ報道などでは、解散総選挙とか、消費税増税の再延長の話などでていますが、実務的な視点では、今更延長はないだろうなと感じています。実際に、前払いの利用料など10%での取引が行われているので、今から延長すると大きな混乱となりそうです。

 さて、今回は、軽減税率に関して、食品の容器に関するお話です。

◆容器の取扱い

 食品は軽減税率ということですが、どんな食品でも100%と言っていいくらい、何らかの容器に入った状態か包装された状態で販売されています。この場合に容器代は、軽減税率の対象になるのかという問題が生じます。

 消費税法上は、食品か特定の新聞が軽減税率の対象となっているので、容器代は軽減税率の対象にならないということになります。ただ、多くの食品販売では、容器代や包装代を別途請求しないで、食品として販売しています。このような、実務を配慮して、容器代等を別途徴収しない場合は、食品として全体が軽減税率となります。

 一方で、容器代や包装代を別途徴収する場合は、その部分は標準税率となります。例えば、食品のスーパーマーケットでごみを少なくする試みとして、袋を有料化しているケースがありますが、そのような場合には袋代は標準税率になります。もっとも、袋代自体は非常に安価に設定するので、消費税自体が上乗せされるかどうかは微妙な話です。消費税の計算について積上方式を採用する場合は、無視できてしまう金額なので、そのあたりも含めてどのような料金体系にするかという問題が生じます。

◆高価な容器を利用した悪用事例

 容器代を請求しなければ、軽減税率が適用できるのなら高価な容器をセットにして、食品として軽減税率で販売できないかと考える方がいらっしゃるかもしれません。この辺りは、国税庁は対応済みで、「ケーキ等の洋菓子をカップ等の専用容器に盛り付けて販売していますが、この専用容器は特注品で、食器として再利用できるものとなっており、菓子よりも高価です。」という事例について、一体資産の範疇に含まれ、洋菓子よりも高価なので、飲食料品に該当せず標準税率になるとしています。

 容器に含まれるのは、「飲食料品の販売に際し、使用される容器が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるとき」としており、通常必要なものという限定をつけて悪用を防いでいます。また、テレビなどでメロンが桐の箱に入って出てくるシーンなどがありますが、「高額な飲食料品にあっては、桐の箱等の高価な容器に入れられて販売されることがありますが、このような場合にあっては、桐の箱にその商品の名称などを直接印刷等して、その飲食料品を販売するためにのみ使用していることが明らかなとき」は、通常必要なものとして、取り扱ってよいとしています。

◆保冷剤とおまけの関係

 国税庁のQ&Aで、洋菓子店のケースで希望するお客さんに保冷剤をつけてケーキやプリンを販売している事例が紹介されています。保冷材については、別途対価を徴している場合は、食品に該当せず標準税率としていますが、別途対価を徴しない場合、つまり「おまけ」としている場合は、食品に含まれ軽減税率の対象になるとしています。

 実際に、食品を購入した際に、サービスとして食品以外のものを付ける場合があります。保冷剤であれば、通常必要なものなので食品に含めて軽減税率は自然な流れだと思います。古くからちょっとした物品をおまけするという商慣習がありますし、「おまけ=対価を受け取らないこと」ですから、そもそも消費税がかからないという話になります。

 ただし、この部分を悪用して、おまけの方が高額な場合などは、全体をみて、組み合わせ販売となり、食品以外の部分は標準税率になるという結論になると思われます。前回、ご紹介した一体資産、そして今回の容器の話、その延長線でのおまけのはなし、微妙に複雑な形で実務に影響しそうです。

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